「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 120/216

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概要:
Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012のような犯罪を予防することを伴う。我々は、この責任を受け入れ、それに則って行動する。国際社会は、適切な場合に、国家がその責任を果たすことを奨励し助けるべきで....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012のような犯罪を予防することを伴う。我々は、この責任を受け入れ、それに則って行動する。国際社会は、適切な場合に、国家がその責任を果たすことを奨励し助けるべきであり、国連が早期警戒能力を確立することを支援すべきである。139.国際社会もまた、国連を通じ、大量殺戮、戦争犯罪、民族浄化及び人道に対する犯罪から人々を保護することを助けるために、憲章第6章及び8章にしたがって、適切な外交的、人道的及びその他の平和的手段を用いる責任を負う。この文脈で、我々は、仮に平和的手段が不十分であり、国家当局が大量殺戮、戦争犯罪、民族浄化及び人道に対する犯罪から自国民を保護することに明らかに失敗している場合は、適切な時期に断固とした方法で、安全保障理事会を通じ、第7章を含む国連憲章に則り、個々の状況に応じ、かつ適切であれば関係する地域機関とも協力しつつ、集団的行動をとる用意がある。我々は、総会が、大量殺戮、戦争犯罪、民族浄化及び人道に対する犯罪から人々を保護する責任及びその影響について、国連憲章及び国際法の諸原則に留意しつつ、検討を継続する必要性を強調する。我々はまた、必要に応じかつ適切に、大量殺戮、戦争犯罪、民族浄化及び人道に対する犯罪から人々を保護する国家の能力を構築することを助け、また、危機や紛争が勃発する緊張に晒されている国家を支援することにコミットする考えである12。成果文書は、国家は、大量虐殺、戦争犯罪、民族浄化、人道に対する罪の四つの残虐行為から自国民を保護する責任を負うことを明確にしている13。また、国家は自国民を保護するために必要な能力を強化することにも同意している14。さらに、国際社会は平和的手段でそれらの残虐行為からその国民を保護する責任を負う一方、国家がその責任を果たす能力または意思がないことが「明白」で、平和的手段が無効な場合、国連憲章第7章に基づき、武力行使を含めた強制措置を採る用意のあることを宣言している15。しかし、成果文書の合意過程で、国際社会は、文民保護目的の軍事介入をめぐって、二つの課題を残している。第一に、成果文書は、平和的手段が無効な場合、国際社会(特に安保理)は、武力行使を含めた強制措置を採る用意のあることを表明しているものの、軍事介入する責任があるのかまでは言及していない16。つまり、安保理の軍事介入の責任を曖昧にしている。この点、軍事介入の審議は、「ケースバイケース」で行われると規定されているため、大国の利害によって、軍事介入の遅れや不介入が生ずる可能性が残された。第二に、ICISS報告書で提案されている常任理事国による拒否権の行使の制限や、「平和のための結集決議」のように安保理の承認がなくとも軍事介入が行えるような代替案が成果文書に盛り込まれていない。つまり、常任理事国が四つの残虐行為への対応をめぐって対立し、拒否権を発動した場合、その後、国際社会はそれらの残虐行為にどのように対処すればよいのかを曖昧にしている。このように、国連総会首脳会合成果文書は、いくつかの課題を残したものの、2006年4月の安保理決議1674で、全会一致で承認されることとなる。118人道研究ジャーナルVol. 1, 2012