「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 156/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012初代社長佐野常民が始めて国際赤十字の存在に触れたパリ万国博覧会(1867年、慶応3年)の案内書「L’EXPOSITION UNIVERSELLE DE 1867ILLUSTREE」も入手した。これによ....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012初代社長佐野常民が始めて国際赤十字の存在に触れたパリ万国博覧会(1867年、慶応3年)の案内書「L’EXPOSITION UNIVERSELLE DE 1867ILLUSTREE」も入手した。これにより、フランス赤十字社のパビリオンの写真が明らかになり、第1回の赤十字国際会議の会場が特定された。また、赤十字国際委員会(ICRC)と世界の赤十字の歩みを物語る「BULLETIN INTERNATIONAL」も1869年版からあり、これには初代赤十字国際委員会委員長ギュスターブ・モアニエ(1826-1910)のサインがあり、これを所蔵する赤十字社や関係国際機関は多くはないだろう。第4回赤十字国際会議(明治20年カールスルーエ)は、日本赤十字社が初めて代表団を派遣した会議だが、政府の通訳として加わった陸軍一等軍医森林太郎(後の森鴎外)の会議メモ(直筆)は貴重である。展示されている史料等は、時折必要により、一部を入れ替える。今までの展示品のなかから主なものを列挙してみる。●アンリー・デュナン著「UN SOUVENIR DESOLFERINO」(1862年パリ)●同上書を日本で最初に翻訳出版した「朔爾弗里諾之紀念」(明治27年東京)●佐野常民が初めて国際赤十字を見聞した、パリ万国博覧会の案内書(1867パリ)●明治15年6月、博愛社社員総会における佐野常民の演説草稿●ジュネーブ条約に加入した政府が初めて作り関係者に配布した「ジュネーブ条約解釈-ときあかし-」(明治20年)●元老院議官佐野常民、同大給恒が征討総督有栖川宮(在熊本)に提出した博愛社設立願書(社則5ヶ条添付)(明治10年)●博愛社常議員松平乗承(後の日赤副社長)の西南戦争時の博愛社救護活動視察報告書(直筆)●博愛社標章●日本赤十字社印章-桐竹鳳凰に赤十字-の制定決裁書(明治20年)●博愛社長崎救護所の薬品等受払い表●西南戦争における鹿児島軍団病院の患者入退録(明治10年8月)●明治19年設立の博愛社病院建築図と同病院概則●日本赤十字社最初の看護婦養成規則決裁書(明治22年)●「日本赤十字社看護学教程」(明治22年刊)・同英語教科書(大正12年刊)●第4回赤十字国際会議(明治20年ドイツ)に通訳をつとめた陸軍一等軍医森林太郎(後の森鴎外)の議事メモ(直筆)●陸軍大臣大山巌より博愛社総長熾仁親王あて「赤十字条約締結」につき通知文●ナイチンゲール記章(第1回受章者萩原タケ1920)●赤十字幻燈石黒忠悳(第4代社長)が考案した事業普及のための24枚の幻燈板●赤十字病院船「博愛丸」(1899~1926)の模型●戦時救護活動状況および殉職職員数調書同関係資料●日本赤十字社救護員召集令状及び救護員必携●日清・日露戦争傷病兵看護写真●日本赤十字社原子力放射能対策委員会刊行「日本赤十字社原爆病院診療記録全6巻」●明治36年12月31日現在の全国支部社員数および年醵金集計表●赤十字奉仕団設立要綱案(昭和21年)●青少年赤十字指導情報第1号(昭和23年)●日本赤十字社創立百周年記念関係資料●ベトナム難民援護事業報告書●救護体験記-日航機墜落事故救護記録-●阪神・淡路大震災救護記録第五その他調査、研究を目的として来館されるほか、電話、信書、メール等による照会、調査依頼、資料請求が年毎に増えている。また、博物館や資料室からの企画協力や情報提供の協力方依頼もある。最近の事例を挙げる。●日本郵船歴史博物館「籾山艦船模型製作所の世界」(2011.12.13-2012.4.1)赤十字病院船博愛丸模型の写真と解説の資料出品に協力した。●東芝科学館開館50周年記念企画展「田中久重ものがたり」(2011.12.16-2012.4.27)東芝の創業者田中久重と日赤初代社長佐野常民の佐賀藩精錬方以来の交流を示す展示と解説に協力。第六まとめ今後は、これら史料の収蔵について保存の技術的な一層の配意が必要であり、閲覧の便に供するためのデータベース化も進めなくてはならない。また、保存整理とあわせて史料等の系統的な調査や分析の作業が待たれる。(2012.2.19記)154人道研究ジャーナルVol. 1, 2012