「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 159/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012観点から防災行政や救護機関のマネージメント担当者に対する研修などは、これまで行われてきましたが、直接災害現場において医療を行う医療関係者、中でも看護師、助産....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012観点から防災行政や救護機関のマネージメント担当者に対する研修などは、これまで行われてきましたが、直接災害現場において医療を行う医療関係者、中でも看護師、助産師、保健師の基礎教育に、災害看護の概念を導入し、層の厚い人材育成を試みる事業はほとんど行われていません。災害看護は、あらゆる健康状態の人々を対象として、災害サイクルすべての時期の看護を視野に入れる必要があります。すなわち、災害看護が取り扱う領域は、看護基礎教育のほぼすべての領域(高齢者、成人、母子、精神、地域など)、すべての人を対象とします。したがって、各看護専門領域との連動で災害看護を構築する必要があります。わが国において、このことが明確に打ち出されたのは、2010年福井で開催された日本災害看護学会第12回年次大会におけるシンポジウム「災害看護構築の深化に向けて~各看護専門領域の統合と実践へのつながり~」においてでありました。わが国では、看護基礎教育に災害看護が組み込まれ、国家試験出題基準にも追加されるようになりましたが、途上国の看護教育においては、災害看護をこのように位置づけているところはほとんどありません。本研究では、まず第1に災害多発国における災害看護教育の実態及び途上国における被災者特性を明らかにします。第2に、各看護専門領域の統合と実践へのつながりのある災害看護教育のあり方について、災害多発国の看護教員と本学の教員とのインターアクティブな研究を行います。第3に構築されたカリキュラムに基づくテキストなど、講義資料を作成します。本研究は、災害が多発する途上国の救護において重要な役割を果たす看護師、助産師、保健師に焦点をあて、その国の文化、慣習などに照らして適正で、さらにその国の被災者の特性に基づく「災害看護」教育のあり方について研究し、人材育成の一助とするものです。最終年度には、プロジェクト参加国以外の災害多発国の看護教育関係者の参加も得て、本研究の成果について討議する場を設けることとしています。このことを通じて、日本赤十字看護大学の災害看護研究・教育の国際的な拠点形成を目指します。わが国の災害看護教育の経験を災害多発の途上国と共有するとともに、この研究を通じて、わが国における各看護専門領域の連携・統合による災害看護構築の深化が図られることが期待されています。写真:左上)バングラデシュ、インドネシア、タイからの客員研究員。自国の「災害看護」教科書作成のための、今後2年間のアクション・プランを作成写真:右上)1.5か月の日本滞在中に東京・武蔵野市における地域防災セミナーでのトリアージ訓練や神戸、気仙沼等訪問。写真:左下)日本赤十字社幹部看護師研修センターにおける災害時の傷病者受け入れ図上演習に参加人道研究ジャーナルVol. 1, 2012157