「人道研究ジャーナル」創刊号 page 164/216
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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012「2020年に向けての戦略」の構築において、私たちはこれまでを顧みて、過去10年間の成果を基礎として作業を進めました。私たちは組織を近代化し、参加の幅を広げて、ボ....
Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012「2020年に向けての戦略」の構築において、私たちはこれまでを顧みて、過去10年間の成果を基礎として作業を進めました。私たちは組織を近代化し、参加の幅を広げて、ボランティアネットワークを拡張し、説明責任を強化し、パートナーシップを拡大してきています。国際赤十字・赤新月社連盟の多様性は、より広範な活動によってより多くの人々に手を差し伸べるうえで大きな価値を持っています。その活動には災害および危機的状況の際の人道的援助や保護が含まれています。また私たちは、健康改善と脆弱性の軽減を達成するための社会的支援の提供や地域社会の能力向上に積極的に取り組んでいます。端的に言えば、私たちは多様な方法で地域社会レベルにおいて直接的なボランティア活動に取り組むことで、他と比較して相対的な強みを実証してきた一方、重要な政策決定の場において、弱者の側の懸念や利益を代弁してきました。同時に私たちはいくつかの分野において、改善の必要性を見出してきました。「2010年に向けての戦略」から「2020年に向けての戦略」への移行に際して、私たちは以下の手段により、より多くのより良い活動を、より多くの人々に施すことを決意しています。⇒各国赤十字社・赤新月社の国内外の諸活動を含む国際赤十字・赤新月社連盟の全体的な活動の指針となるような合理化された包括的な戦略。⇒各国赤十字社・赤新月社の補助的役割を一層充実させると共に、会員、ボランティアおよびその他の支援者からの強力かつ多様な支持を得ながら、指導・管理の徹底した、十分な資金力を持つ独立組織として、持続的発展を遂げること。⇒広く知られた災害救援への取り組みと同様に開発事業への焦点を強化すること。⇒自らの組織と活動において、例えば、私たちの政策や慣行において、性別やその他の理由による差別が起きないよう、より多くの弱者が参加できるよう、平等に向けて努力すること。⇒私たちの活動を最も貧困な弱者にまで拡大するうえで、私たちの持てる能力が最も効果的に展開されるような協働のためのより良い方法、そのためには、私たちの運動外の他者とのパートナーシップおよび連携において、これまで以上の開放性と柔軟性が必要である。⇒私たちの基本原則を守り、弱者および不利な条件に置かれた人々の側に立って正々堂々と声をあげること。⇒計画策定、業績管理および説明責任への調和のとれた連盟としてのアプローチ。⇒憲章を踏まえた各国赤十字社・赤新月社への監視と一貫した支援をおこなうための連盟としてのガバナンス体制の整備。⇒公平性、専門性および説明責任を保ちながら、その期待される主要な会員支援機能を、会員である各国赤十字社・赤新月社に身近なものとしておこなう、そのための最適化、集約化、そして適切に管理された連盟事務局の体制整備。変化する世界に対応する私たちのビジョンの再検討「より多くのより良い活動」へと前進するうえで、急速に変化しつつある世界が作り出す課題と状況に適応していくことが不可欠であるとき、従来とは異なる活動方法が必要となります。最近の数十年の間に希望も生まれました。民主主義はより広く受け入れられ、保健および教育のレベルは向上し、科学・技術の進展と人間の知恵は結びつくようになりました。その結果は、より大きな創造性、生産的な事業、そしてより広範囲にわたって共有される社会意識となって現われ、数百万の人々を貧困から救い出す上で役立ってきました。しかしこのような進歩は一様ではなく、現存の地域間の不平等性や今後予測される世界的な傾向のために、ようやく手に入れた進歩が台無しになってしまう恐れがあります。162人道研究ジャーナルVol. 1, 2012