「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 165/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012グローバリゼーション、すなわち世界で起こっている相互関連性および相互依存性の進展は、すでに生活の中に浸透しています。しかしその利益は公平に配分されているわけ....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012グローバリゼーション、すなわち世界で起こっている相互関連性および相互依存性の進展は、すでに生活の中に浸透しています。しかしその利益は公平に配分されているわけではなく、定期的に発生する金融・経済危機のショックが長期的かつ深刻な影響を及ぼす可能性があり、増大する不平等から生まれた不満を増幅させています。この状況は、高齢化など変化する人口動態の諸パターンと無計画な都市化の相互作用によって生まれた不利益および差別のために悪化しています。そのほかの関連要因としては、特に若者の間にみられる増加する暴力、強制移住、一般的な感染症と同程度になりつつある非伝染性疾病の影響の増大、環境悪化、そして食糧、水および天然資源の不安定さが含まれます。その間にも多くの巨大な災害が、大きな損害、損失および混乱をもたらしています。気候変動は、私たちの暮らし方、これからの経済成長の求め方や共有の方法を大きく変化させるでしょう。これらの傾向は新たな周辺化、貧困化、不安定化のパターンを促進し、脆弱性を大規模に拡大する可能性があります。これらの複雑かつ相互に関連した課題に対しては、私たちの暮らし方や相互の関係、そして全員が共有するこの地球との関係のあり方を変えさせるように、考え方や態度を転換していく必要があります。より多極的な国家構造や非国家主体の国境を超えたネットワークを目指して国際秩序を歴史的に転換させることにより、こうした変化が生まれるでしょう。これは国際赤十字・赤新月社連盟にとって、変わりゆく地域社会の性質とニーズ、進化し続けるボランティア活動を踏まえ、常に再編し続けることを意味します。私たちは新たな能力を構築し、社会的動員における変革を推し進め、コミュニケーションと技術における新たな知識と進歩を活用します。これによって、私たちの組織の全体的な規模、守備範囲、能力を考慮した場合、取り組むべきニーズと脆弱性に対応するのに必要なより大規模な活動が可能となります。国際赤十字・赤新月社連盟のビジョンはこうした意識を明文化しており、各国赤十字社・赤新月社および事務局の具体的なミッションステートメントの指針となっています。国際赤十字・赤新月社連盟のビジョン人間の困苦の予防と軽減を目的として、各国赤十字社・赤新月社によるあらゆる形態の人道的諸活動を常に鼓舞、奨励、支援、促進し、世界の人々の尊厳と平和の維持・促進に貢献します。第4条(一般的目的)、憲章(2007年)人道研究ジャーナルVol. 1, 2012163