「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 168/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012があります。援助は最弱者層に最初に届けられ、被災者の尊厳を尊重する方法で提供されなければなりません。私たちが地域社会の不可欠な構成員であることは、その社会に....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012があります。援助は最弱者層に最初に届けられ、被災者の尊厳を尊重する方法で提供されなければなりません。私たちが地域社会の不可欠な構成員であることは、その社会に住む人たちのニーズや脆弱性、能力を継続的に理解することを可能にします。災害および危機的状況を組織的に管理するには、まずは訓練を積み組織化されたボランティアが初動対応に備えるところから始まります。また必要不可欠な物資の備蓄を維持および事前配置し、物流やコミュニケーションの最適化を図ることが求められます。人命の最大限の救助と、資産および生活の保護に役立つのは、信頼性の高い早期警報システムです。さらに私たちの災害・危機対応には、最低限の医療サービス、食料、栄養、水、公衆衛生環境の提供も含まれます。家族がばらばらになっている場合には、連絡を取り合えるように支援もします。また人道援助システム内で合意された役割分担の一つとして、緊急シェルターの提供における調整業務があります。人道的援助の迅速性と効果を確保するためには、適切な法律が不可欠です。このため私たちは、災害法の制定と促進を通じた国内法の整備と国際的な法律の協力を重要視しています。これは、救援および復興対策が被災者の尊厳と権利を尊重しながら効率的に実施されるように、活動の障壁を引き下げ、地域社会の役割を強化することを目的としています。準備体制を強化し、支援の適切性や起こりうる事態の予測可能性を向上させるため、国際的な災害救援を促進・管理するような、発災前の事前協定も推し進めています。災害および危機からの復興状況が可能なかぎり速やかに安定すれば、災害および危機の影響は減じていき、住民は自らの生活や地域社会の再建に取り掛かれるようになります。具体的な要望に応じながら、私たちの復興支援はさらなる損害および損失の予防、必要不可欠なサービスの修復、健康の維持、心のケアの提供、生活の再建、食の安全の強化を目的とします。復旧のための活動は、これまでよりも包括的な社会を再建し、また将来の災害に対する脆弱性を軽減するように行われます。この結果、回復した地域社会は以前よりも安全となります。災害管理システム各国赤十字・赤新月社は、災害や危機のリスクがある地域社会に最も近い存在であることから、地域および国内の災害対応能力の構築が、各社の主要責務ということになります。しかし、大規模な災害や危機は最善を尽くして準備をしたとしても、時にそれを上回ることがあることを私たちは知っています。このため、各社は互いに支援しあうことを約束し、そのための緊急対応能力を築きあげてきました。連盟事務局は国際赤十字・赤新月社連盟に加盟する各社への主要な責務のひとつとして「国際救援活動を組織し、調整し、指示する」という憲章上の義務を負っています。各国赤十字社・赤新月社が相互に補完し合うことで、効果的な手段および信頼できる災害対応能力が常に確保されており、世界、地域、各国および国内の地方を結ぶシームレスな対応が可能です。世界で発生する大規模災害が増え続け、その深刻さも益々高まると予測されている中にあっても、我々はそれに対処できるのだという自信に繋がっています。一方、武力紛争および暴力による犠牲者を保護・支援するための十分な能力を維持するために、ICRCと国際赤十字・赤新月社連盟は一丸となって取り組んでいます。166人道研究ジャーナルVol. 1, 2012