「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 213/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012編集後記かねてより、日本赤十字社の事業の歴史的研究、人道問題についての今日的研究ならびに将来を展望する研究の機関として、研究センターを設置できないものかと考....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012編集後記かねてより、日本赤十字社の事業の歴史的研究、人道問題についての今日的研究ならびに将来を展望する研究の機関として、研究センターを設置できないものかと考えてきた。2009年の赤十字思想誕生150周年の記念事業の一つとして、懸案の研究センターを開設したらどうかという提案をしてから、大分時間がたった。学園本部の五十嵐局長の尽力なしには、研究センター設置は適わなかったであろう。日本赤十字人道研究センターは2011年4月1日に日本赤十字の看護大学6校の共通の研究センターとして、東京・広尾の日赤看護大学に設置された。しかし、新しいことが生れるときには、ただでさえ幾多の困難がつきものである。時はまさにあの未曾有の大災害救護の真最中であった。センターとしての研究を進めるうえで、会計上の手続きを含め、種々解決しなければならないことがあった。まさに手探りの状況での船出であった。まだすべてが解決できたわけではない。各大学の研究員の方々にお集まりいただき、さらに本社幹部とのセンター運営会議の開催にこぎつけたのは、10月半ばであった。昨年暮れの、学園本部との打ち合わせの中で、年度内に機関誌を発刊し、研究センターのオープニング・レセプションを開いたらどうかというお話があった。このセンターの機関誌発行については、online journalをまず考えた。しかし、6つの大学から指名され、本センターの研究員となられた先生方との話し合いで、その昔の「博愛」(当初の名称は「日本赤十字」)のようなものが出せないかというご意見があった。明治24(1891)年から昭和26(1951)年まで、月刊誌として741号を数える日本赤十字社の機関誌である。各界の方々が執筆されている。大学の紀要のような堅苦しさはない。資金的にも、本センターの陣容からしても、月刊誌など、夢のまた夢である。しかし、本センターの機関誌である「人道研究ジャーナル」の目指す路線としては、これと同方向を求めるようにしたいと思う。すなわち、日赤関係者だけの閉鎖的なものではなく、人道研究に関わる方々のフォーラムとしていきたい。日本赤十字社には「もっとクロス」というインナー・キャンペーンがあるが、このジャーナルは人道問題の研究者がクロスできる場にしたいと思う。「人道研究ジャーナル」の創刊号である本号には、赤十字国際委員会(ICRC)総裁と国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の会長からメッセージを頂戴した。IFRCのBekele Geleta事務総長には特別寄稿をお引き受けいただいた。また、本年2月に来日されたICRC事業局長にはインタビューをお願いした。東日本大震災の関係で、1年間日本に滞在中のBjorn Eder連盟代表には、ご自身の長い赤十字のキャリアからの提言をお願いした。成蹊大学の墓田桂先生にはIDRL(国際災害対応法)のガイドラインの翻訳を掲載するうえで、ご協力いただいた。日赤OBの佐藤雅紀さんには、昭憲皇太后基金創設について紐解いていただいた。この機会に、執筆いただいた方々をはじめ、IFRCのJason Smithさん、田中康夫さん、佐藤展章さん、ICRC駐日事務所の長嶺義宣所長を始めスタッフの方々に厚く御礼を申しあげる。本センターの事業の一つとして、日本赤十字社の歴史的な事業についての聞き取りを考えてきた。人道研究ジャーナルVol. 1, 2012211