「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 24/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 20122011年の出来事:イタリア―北アフリカの市民暴動の影響アラブの春以降、中東および北アフリカの各国赤十字・赤新月社は、自国からの脱出を迫られた人々の人道上のニー....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 20122011年の出来事:イタリア―北アフリカの市民暴動の影響アラブの春以降、中東および北アフリカの各国赤十字・赤新月社は、自国からの脱出を迫られた人々の人道上のニーズに応える上で、重要な役割を果たしています。例えば、リビア国境では、エジプト赤新月社とチュニジア赤新月社が各地からやって来た何十万人もの移住者に対し、必要不可欠なケアを提供していました。しかし、市民暴動の影響は、暴動の影響を受けた地域のみに限られていたわけではありませんでした。地中海に浮かぶイタリア領の小さな島、ランペドゥーザ島では、数千人の移住者を受け入れています。イタリア赤十字社は、イタリア各地に移住者受け入れ施設を開設し、北アフリカから移送されてきた人々への保健医療の提供および人道的支援を行っています。これらの受け入れ施設の1つに「Village of Solidarity(連帯の村)」があります。2011年3月に開設された村内には、広大な保護希望者の受け入れ施設があり、様々な国籍を持つ1,600人以上の移住者を受け入れてきました。同施設では、イタリア赤十字社の130人のスタッフとボランティアが働いており、移住者に対する保健医療支援、食事、宿泊設備および異文化間の仲介サービスを提供しています。「ランペドゥーザ島に来てすぐに、私の人生は変わりました。これまでに経験してきた全ての事と、イタリア赤十字社から受けたあらゆる支援によって、ここイタリアこそが自分の場所なのだと気付きました。私は、自分自身もボランティアになって、自分のように脆弱性が増す状況に直面している人々、もしくはかつてそのような状況にあった人々の代弁者になりたいのです。」と、チュニスで化学および物理学を教えていたラムジ元教授は語っています。応急診療テントの外で座り込んでいるチュニジアからの若い移住者。傍らにいるのはイタリア赤十字のボランティア、ビート・リアントニオcGiovanni Zambello / IFRC数字で見る世界?下痢や肺炎など、予防できる病気で毎年880万人の子供が命を落としています。?癌、心血管疾患、糖尿病のような非感染性疾患は、年間死亡者数の63%を占めています。?この豊かな世界で、10億人が毎晩空腹のまま寝床に就いています。?各国赤十字・赤新月社による2010年度のHIV予防活動は、1780万人に及んでいます。?ここ5年の間に、54ヵ国の400万人以上が赤十字・赤新月社による安全な水の供給を受けています。? 2010年には、1700万人が赤十字・赤新月社による応急処置(救急法)研修を受講しています。健康的で安全な生活を可能にする各国赤十字・赤新月社は、応急処置(救急法)、結核対策、HIV対策、母子保健その他の分野における脆弱性の削減のために保健活動を行う上で、地域密着型のアプローチを採用しています。赤十字・赤新月社のボランティアは、最も必要としているにもかかわらず、公的医療を受けることのできない人々のために、日々医療ケアを提供しています。地元の住民は地元の習慣をよく知っているので、ボランティアはアクセスを妨げる障壁を打ち破ることができるのです。ボランティアは、よその人間には入れない人里離れた地域にも入ることができ、時には戸別訪問も行う事で、必要不可欠な医療サービスを提供しています。22人道研究ジャーナルVol. 1, 2012