「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 48/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012(ⅳ)Greg Vickery(オーストラリア赤十字社社長)新任(ⅴ)Mohammed Al-Hadid(ヨルダン赤新月社)再選赤十字・赤新月国際会議で、上記の委員を選出の後、常置委員....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012(ⅳ)Greg Vickery(オーストラリア赤十字社社長)新任(ⅴ)Mohammed Al-Hadid(ヨルダン赤新月社)再選赤十字・赤新月国際会議で、上記の委員を選出の後、常置委員会の会議が開催され、同委員会の規則に基づき、委員長及び副委員長の選挙が行われた。その結果、委員長にはGreg Vickeryが、副委員長にはSteve Carrがそれぞれ選出された。Box 2 IDRL及び減災に関する日本赤十字社の発言最初に、本年3月11日に発生した東日本大震災に際しては、みなさまから日本の被災者に対し多くの暖かい励ましと支援をいただきましたことに、衷心より感謝申し上げます。みなさまからの励ましと支援が被災者の復興への大きな支えとなっておりますこと、また、日本赤十字社は、みなさまからの支援によって、被災者への救援と復興支援に邁進しておりますことをここに報告申し上げます。さて、国際社会において災害対応における国際支援の受け入れと調整は、久しく課題とされてきたところです。近年、災害は、気象変動の影響などにより大規模、多発化傾向にあり、また、紛争と相俟った複合災害も多く見られます。一方、大規模災害において救援活動に直接関わるアクターが増大、多様化し、被災国の国際支援の受け入れ、調整、統制についての課題はますます大きくなって来ています。今日、大規模災害時に、連帯の精神の表明である国際支援を受け入れることは、先進国、途上国を問わず常態となって来ており、今回の震災では、日本はアピールを発出しませんでしたが国際支援を受ける立場になりました。アピールの有無にかかわらず寄付者への説明責任など国際支援受け入れのルールを遵守することはもはや国際的な共通認識となっています。また、東日本大震災では、国際的な善意に応えて、国際支援を受け入れる方針が、政府と赤十字との間で事前に十分共有されていませんでした。この点について政府と赤十字の密接なダイアログが必要とされています。The Code of Conduct in Disaster Relief(災害救護の行動規範)では、支援の中立性や公平性が求められています。また、The Sphere Projectでは支援の質の最低基準が定められています。国際支援はこれらを踏まえて実施されるべきですが、人道的な支援にも関わらず、政治的、その他の理由により、支援国や被支援国が選ばれ、さらには昨今の政治変革の流れの中で、赤十字に政府の補助機関としての役割のみが求められ、赤十字の中立性、公平性、独立性が損なわれるなど、人道的なスペースが狭められてしまうことに強い関心を持っています。国際赤十字・赤新月社連盟による今回のIDRLガイドラインにかかるModel Actの取りまとめを歓迎するとともに、国際支援の受け入れと調整が、ビザ、通関、税、登録、輸送許可などの国際支援の受け入れを阻害する技術的な問題だけにとどまらず、IDRLガイドラインの中に流れる人道、中立、公平の原則に従って実施されるよう、みなさまの注意を喚起したいと思います。このような観点から本決議が赤十字国際会議で議論され、採択されることを歓迎いたします。最後になりましたが、東日本大震災での原子力発電所事故は、周辺国をはじめ多くの国に混乱をもたらす国際災害であります。国際赤十字・赤新月社連盟では、このような原子力発電所事故における、住民の健康管理、食品、飲料水の安全性チェック、環境のモニタリングなどの国際協力について、決議を行いました、原子力発電所事故という国際災害についてもIDRLのコンテクストの中で議論が進められることを期待いたします。46人道研究ジャーナルVol. 1, 2012