「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 56/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012続ける職員の支援ため、全国の赤十字施設から医師124名、看護師・助産師414名を初め、薬剤師・事務員他など9月30日までに合計786名の病院支援要員を救護班以外に派遣し....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012続ける職員の支援ため、全国の赤十字施設から医師124名、看護師・助産師414名を初め、薬剤師・事務員他など9月30日までに合計786名の病院支援要員を救護班以外に派遣した。福島県は福島赤十字病院ならびに県外の日赤救護班が発災直後より10班以上活動していたが、福島第一原発の事故により放射線汚染の懸念が高まり、情報が錯綜し日赤は救護活動を一時中断したが、3月19日再開、福島市・会津若松市を拠点として巡回診療を行なった。救護班の放射線に対する不安を除くため、来日した国際赤十字委員会の核専門家のアドバイスを受けた。その結果、個人用線量計を携帯して業務を行なうことや、汚染予防のための防護服・ゴーグル・マスクを準備し、内服ヨード剤を福島日赤に備蓄した。さらに長崎・広島の両日赤原爆病院から専門家を「放射線アドバイザー」として福島県支部に派遣し、予防と安全性に関するブリーフィングを受けた後に活動を継続した。500kmにおよぶ東北3県海岸線の広域地震・津波災害で、災害救護の拠点をどこにするか難しい判断であったが、被害状況から顧みれば石巻医療圏をターゲットの中心においたことには誤りはなかったと考える。最終的には、岩手県内に302班(7月29日派遣終了)、宮城県内に375班(9月23日終了)、福島県内に141班など合計842班を派遣した。福島県には現在も避難区域への一時帰宅者の健康管理のために1班を必要に応じて派遣している。急性期から復興期までこころのケア活動は重要視され継続して実施された。また初の試みとして、避難所の看護ケア班、介護ニーズ支援活動、看護学校支援などを行なった。血液製剤の供給に関しては、3県で献血者の受け入れを一部休止した時期があったが、他の地域の血液センターの協力により支障は生じなかった。(3)その他の日赤の活動救援物資の配布状況、赤十字ボランティアの活動状況、義援金の受付と配布状況は表2~4の通りである。この巨大災害には国際的にも注目をあび、巨額の救援金が日赤に寄付された。この500億円以上にのぼる国際救援金を使用して、自治体・被災者と協議しながら日赤としてはまだ経験したことのない新しい事業を創設し(表5)、災害から11ヵ月を経過した現在も地域の復興のための事業を継続している。54人道研究ジャーナルVol. 1, 2012