「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 71/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012という、大きな教訓が得られた。新しい組織が来るたびに、何が起こり、何が必要かを尋ねられることによる個人、家族、地域社会のストレスは、これによって軽減される。....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012という、大きな教訓が得られた。新しい組織が来るたびに、何が起こり、何が必要かを尋ねられることによる個人、家族、地域社会のストレスは、これによって軽減される。ニーズの評価についてできるだけ多くの情報を組織間で共有し、他の地域や他の部門の組織に連絡することにより、被災者集団のニーズに総合的に対応することができる。最初に協力すべき組織は、援助を必要としている地域社会である。心理社会的介入のあらゆる側面、あらゆる段階に、被災した集団や地域社会の代表者を関与させるべきである。他の関係機関と心のケアに関する合同訓練を計画する。これによって、訓練の到達範囲を拡大し、すべての心のケア提供者の質を高めることができる。また、たとえば「異常事態への正常な反応」などに関する情報の普及をうまく調整し、異なる情報源からの相反する情報や紛らわしい情報によって地域社会が翻弄されないよう、他の組織との調整を行う。組織間の調整と協力をうまく行うことにより、メンタルヘルスと心理的ニーズへの関心を高めることもできる。ほとんどの国には様々な国籍の人が住んでいるため、各国の赤十字社は、大規模災害で外国へ避難した人々を支援するために、訓練された要員の派遣と受け入れを行う用意も整えるべきである。赤十字・赤新月運動の世界的能力の活用と各国の貢献地震多発地域や産業事故による災害といった既存の脅威に加えて、都市人口や弱者の増加、気候変動による不確実性の増大などにより、大規模災害のリスクが高まっているため、国際的な赤十字運動の全体的な能力を活用することがますます必要になってきている。原則として、各国の赤十字社は、その国の政府を補助するものであるが、現実には、各国の状況や伝統に応じて、赤十字社の国との関係や災害対応における役割は大幅に異なっている。日本、バングラデシュ、イラン、米国などの国々では、赤十字社は国の緊急対応計画に組み込まれている。多くのヨーロッパ諸国など、他の国々では、国の救助機関が緊急対応の責任を担い、国レベルの災害における各国赤十字社の役割は、比較的重要性の低いものに限られている。しかし、ほとんどの国では、赤十字社は人道・中立・公平の原則に基づく、補助的ではあるが独立した組織であることがよく認知され、国籍、人種、信仰、階級、政治的意見などによる差別を行わず、自発的活動によって援助を提供することが広く知られている。あらゆるレベルの災害管理当局と密接な関係を保って活動することにより、大規模災害に際して当局の負担がきわめて大きくなった場合にも、有効かつ効率的な連携が確実に行われる。これを効果的に実行するために、各国の赤十字社は、大規模災害に対する質の高い緊急対応計画を整備する必要がある。これには、自国での大災害に対応するために、赤十字・赤新月運動から資源や援助を引き出すための取り決めなども含まれる。各国の赤十字社は、各国特有の条件、災害リスク、支援の可能性などを考慮しつつ、非常救援方針だけでなく、復旧方針をも作成しなくてはならない。IFRCによって行われている共通の復旧方針の作成作業を活用することも必要である。各国の赤十字社は、国際的な災害管理のベストプラクティスに関する重要な経験と知識について、自国の赤十字社の中で得られる情報をどのように整理して提供するのが最善であるかを考えなくてはならない。また、訓練された要員を国内と海外に展開するための準備を整えなくてはならない。最大限の効果を引き出すため、これは、IFRCによる緊密な調整の下で行われるべきである。1年人道研究ジャーナルVol. 1, 201269