「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 73/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012東日本大震災における学生のボランティア活動~赤十字の看護教育に根ざすもの~(1)尾山とし子Ⅰ.はじめに昨年3月11日に発生した東日本大震災は、日本中を震撼させ....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012東日本大震災における学生のボランティア活動~赤十字の看護教育に根ざすもの~(1)尾山とし子Ⅰ.はじめに昨年3月11日に発生した東日本大震災は、日本中を震撼させるだけでなく、世界中に衝撃をもたらした。そして、「自分も災害現場に行き、何かするべきなのではないか。」と自問したと同時に、誰もが被災者となり得るという教訓を得たのではないかと感じさせられた。このような中、学生達(日本赤十字北海道看護大学生)は自発的に「何か」を開始するべく、街頭募金に立ち上がった。他のために役立ちたいという自分達の思いを実際に行動に移したのであった。やがて、この思いは被災地へ足を運び、被災者に対して直接的な支援をしていきたいという、強い思いに変化していった。震災から日が経つにつれ、その思いは大きく深くなっていった。この学生達の思いに何とか応えられないものか、赤十字の看護大学として、今こそ、人道という教育理念を実体として学生に刻ませる絶好の機会なのではないのかと考えた。そこで、数名の教員で現地の事前調査を実施した。ニーズがあり、なおかつ学生ボランティアを受け入れてくれる地域や、震災当初から支援活動をしている団体・組織を探した。その結果、1つのNGOの協力が得られ、学生達と教員数名とで現地に入り、被災者のニーズに応じたボランティア活動を実現することができた。この活動体験から、学生は何を学んだのか、そして、この活動が赤十字の看護大学としてどのような教育的な意味を持つのかについて考察する。Ⅱ.ボランティア活動の経緯1.活動場所と対象者の決定被災地域の大きさから考えて、全く様子がわからない地域を選定するのではなく、もともと日本赤十字社北海道支部が救護班を送っていた陸前高田市に的を絞り、7月中旬に担当教員が事前調査を実施した。陸前高田市には、筆者自らも赤十字救護班の一員として入っていたこともあり、赤十字関係者だけでなく、震災当初から支援に入っていたNGOのメンバーとの繋がりもあった。現地での活動の中で、そのNGOメンバーと、ある程度の人間関係も成立しており、今回の学生ボランテイア活動について、依頼しやすかった経緯がある。そして、このNGOと協議した結果、被災を受けた子ども達への支援が不足しているという情報を得ることができ、夏期休暇中の小学生を支援の対象とした。2.活動の目的と内容被災地では、子ども達が走り回ることのできるグラウンドには、仮設住宅が建ち、子ども達の学習環境も狭い仮設住宅で困難を強いられていた。そこで、大学生という特徴を活かし、子ども達の(1)日本赤十字北海道看護大学人道研究ジャーナルVol. 1, 201271