「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 75/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012遊びの時間配分を考えながら進行していった。特に、遊びの面では、夏に北海道の雪を使った小さな雪だるま作りや雪合戦など、北海道の色が出せるもので、子ども達が喜び....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012遊びの時間配分を考えながら進行していった。特に、遊びの面では、夏に北海道の雪を使った小さな雪だるま作りや雪合戦など、北海道の色が出せるもので、子ども達が喜びそうなもの、なおかつ、実現可能な内容の遊びを工夫した。6)日々の反省と改善初日の反省点として、「特定の子どもに付きすぎて、全体に目が届かなかった。」「時間配分が曖昧だった。」の2点が主に上げられた。これらの改善策として、「多くの子ども達と柔軟に関わる」「毎日の時間割を作成し、子ども達にも時間配分の自覚を持たせる」を上げて翌日以降のプログラムに反映させた。特に、時間配分については、自作の時間割表を貼り出し、壁掛け時計のおもちゃを利用してプログラムや時間を視覚的に示すと同時に、毎日交替でリーダーを決めてプログラムを遂行していったことで、学習と遊びのメリハリを子ども達に伝えることができた。また、学年ごとの学生配置によって活動3日目には、効果的な学習支援が行えるようになっていった。日を追うごとに学生の目は、自分たちの活動状況だけでなく、子ども達の反応をよく見つめる目へと変化していった。「遊びの時間に勉強をしようとする子どもにどう接したらよいか。」「学習道具を持参しない子どもへの対応。」「遊びの内容に子ども達が飽きてきた様子だ。」「遊びの中で、してはいけない行動が見受けられた。」などが上げられた。改善策として、「遊びを始める前に、ルールをわかりやすく説明する。」「勉強を進めている子には、きりが良いところまで進めてもらう。」「学習道具をこちらで少し準備すると共に、算数クイズなどで、学習への興味を引き出す。」「市販の図工キットを活用する。」などを上げ、より個別的な対応に心がけた。安全のために、少しのルールを遊ぶ前に説明するだけで、子ども達はルールに則って危険なく、楽しく遊べていた。このことから学生は、たとえ些細なことでも、当たり前と思われるような事柄でも、何かが起こる前に事前の説明を行って、全体に周知しておくことの重要性を再認識できた。学生の反応を見ていると、最初は、子ども達の参加人数や反応などがわからずに戸惑う事が多かったようだ。しかし、日を追うごとに馴染みの子ども達が訪れ、徐々に学生と子ども達の距離が縮まっていった。活動4日目ともなると、学生達の役割分担も明確になり、子ども達の個性に合わせた活動内容の充実が認められた。日ごとに「楽習会」への子ども達の参加人数が増え、文字通りの楽しい学習会と発展していった。最終日には午前・午後共に最大の参加人数となった。この日は、学生達のオリジナルのゲームなどを紹介し、既製のゲームとはひと味違った楽しさが醸し出された。しかし、同時に参加人数が増加したことによる新たな問題点も表出した。「勉強中に一人が遊び出すと、みんなに伝染してしまう。」「学習と遊びを兼ねて準備した工作キットの難易度に差があり、時間内に完成させられなかった。また、工作の種類が多すぎて学生の手が回らなかった。」「正直、小学生の宿題でわからないものもあった。」「必要物品が多くなり、場所の把握が困難だった。」などが上げられた。改善策として、「学習の目標を設定し、諭して学習が進んだら褒める。」「工作キットは事前に試してみる。」「改めて小学校の勉強に取り組んで、準備する。」「物品の整理整頓を毎日行う。」などが上げられ、これらを次回の活動へ引き継ぐこととした。3.活動後の学び今回の活動では、事前に実際的な被災地の状況を把握することが困難であった。全く知らない地人道研究ジャーナルVol. 1, 201273