「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 76/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012での活動を実施するにあたっては、当該地で草の根的に活動をしている団体との協働が不可欠である。特に東北の地域性は、住む場所が1km違っただけでも異なり、その場に....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012での活動を実施するにあたっては、当該地で草の根的に活動をしている団体との協働が不可欠である。特に東北の地域性は、住む場所が1km違っただけでも異なり、その場に応じた被災者との接し方が必要となる。一つの大学ができる支援は限られているが、互いの組織の特性を活かして、協働することで、学生達の学びも大きかったと考える。今回の子ども達への学習支援活動を通じ、学生達が導き出した学びについて以下に記す。1)幅広い年齢層の子ども達に対応できるように、遊び道具や学習道具の準備や発達段階に合わせた子ども達への関わり方の事前学習を行い、具体的にイメージを持って活動に望む必要がある。2)今後も継続した支援が行えるように、活動の報告会を行い、この経験からの学びを後輩に積極的に引き継ぐ必要がある。3)事前に活動に必要な物品をイメージして吟味し、活動時に不必要な物品が出ないようにして無駄を省く。4)全員で連絡を取り合い、メンバー同士の関係性づくりをしておく。5)どのような状況になっても受動的ではなく常に能動的に行動する努力が必要である。6)日頃から災害や災害看護についての学習を深めておく必要性がある。7)子どもや高齢者など、人への対応について、看護学実習はもちろん、様々に展開される日常生活について興味・関心を持ち、人と積極的に関わっていくことが重要である。そして、普段からコミュニケーション能力を身につけるべく、努力していくことが不可欠である。8)被災地のニーズを把握すると共に、ニーズの変化を知る。そして、ニーズに合わせた関わりができるように柔軟な対応を行うことが大切である。9)いつでも出発できるように、普段から自己の健康管理をしっかり行う。10)学生は大人とは違った立場から関わることができるのではないか。実際の関わりの中から子ども達のニーズを把握していくことが必要である。Ⅲ.活動からの考察1.ボランティア活動体験と看護被災地でのボランテイア活動を終えた学生達は、教員の考える以上の学びを得て、一回り大きくなった印象を受けた。この経験が確実に、彼らに何らかの影響を与えたに違いない。今後、活動経験が彼ら自身の人間的成長や、看護観に与える影響について検証していくことができれば、看護教育を教授する上での方法論を発展させていく一助となり得るだろう。今回の活動体験を看護として意味づけするならば、被災地という未知の世界の情報収集から始まり、想像力や既習の知識を総動員して、アセスメントし、対象者の問題を明確化する。そしてケアを考え、準備し、実践する。さらに、実践したことを振り返りによって、評価し、修正していく。このサイクルは、まさに看護に必要な問題解決的思考である。この過程を踏むことは、単にボランテイア活動を体験させるという意味合いよりももっと学習方法としての効果があるとされている。サービス・ラーニングという考え方である。サービス・ラーニングとは、学業とコミュニティ・サービス、コミュニティでの活動を組み合わせた1つの教育手法のことである。1)アメリカにおいてもこの手法は、非常に強力な学習法であるということが認識されている。学業と実際の行動の統合化は、学業の強化を促し、学生の学習74人道研究ジャーナルVol. 1, 2012