「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 8/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012ICRC総裁からのメッセージ赤十字国際委員会総裁ヤコブ・ケレンベルガー東日本大地震時に対応にあたった日本赤十字社および日本の方々が取られた対応からは、人道的原則....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012ICRC総裁からのメッセージ赤十字国際委員会総裁ヤコブ・ケレンベルガー東日本大地震時に対応にあたった日本赤十字社および日本の方々が取られた対応からは、人道的原則が広く日本に受け入れられている様が見られました。被災した近所の人々へ自宅を開放する家族。津波や地震で生じたがれきを撤去するために集まった何千人ものボランティア。助けを必要としている人々に手を差し伸べることが、日本でしごく自然のことと受け止められている様子が伝わってきました。国内外から寄せられた寄付金は過去最高額となっています。支援には高い専門性が必要です。今回、日本の対応は迅速で、かつ体制が整っていました。関係者の役割分担と手順が明瞭で、各々が自分のするべきことを認識していました。日本赤十字社には長年蓄積してきた資材・人材や専門知識があり、災害支援に関する豊富な経験と高い専門性を持った組織だといえます。国際赤十字運動にとっても、この日本赤十字社の経験から学ぶ点は多数あります。今回新たに設立された、日本赤十字国際人道研究センターは、そのような災害医療に関する専門的知識を他の各国赤十字社・赤新月社に提供する拠点となることを期待しています。ICRCにとって、2011年は嵐のような年でした。武力紛争、国内暴動や国内対立による情勢不安、自然災害、技術災害により、アフリカ、中東、東アジアで数千人が死亡し、人々の生活は壊滅的状態に、計り知れない苦しみが生じました。このような事態が突然、そしてその多くが同時に起きました。2011年2月に反政府デモ弾圧により情勢不安が生じたリビアにおいて、ICRCは、暴力勃発から数日のうちに北東部の都市ベンガジに拠点を置きました。ベンガジは、関係者との対話を続け、現場へのアクセスを得るのに重要な場所でした。併せて、代表部を首都トリポリに設置。人道支援機関の中で最初に活動を始めました。時を同じくして、ICRCは大統領選挙後に混乱を極めたコートジボワールでも支援活動を実施。実質的首都機能を果たしている南東部アビジャンと西部地域において、現場で活動する唯一の人道支援機関として被害を受けた人々に対し緊急支援を行いました。2011年度の活動資金協力要請額は、リビアやコートジボワールでの危機発生以前、年度当初から過去最高額となっていました。その主要活動地には、長引く武力紛争の被害を受けているアフガニスタン、パキスタン、イラク、ソマリア、スーダン等があげられます。ソマリアでは困難な状況が何年も続き、多くの人々が苦しんでいます。武力紛争が続いている上に、たびたび起きる自然災害により、平和な日常が戻り生活が豊かになっていく展望を国民は持てません。そこでICRCは、ソマリア赤新月社と協力し、悪化する状況に歯止めをかけるべく2011年に活動を大幅に拡大しました。既に行っていた食料配布の対象を100万人まで増やしたほか、摂食障害治療センターや医療施設をイスラム過激派勢力アル・シャバブが支配している地域に数多く設置しました。2012年もソマリアやその他武力紛争下にある地域での活動が最優先課題であることに変わりはありませんが、一方で、予測不可能な事態に対応するための柔軟性も不可欠です。6人道研究ジャーナルVol. 1, 2012