「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 86/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012大学としてできることのうち、現実的にできることということを重ね合せた結果の案をつくりました。その案をもって、現地の保健チーム、保健師さんたちとの話し合いを8....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012大学としてできることのうち、現実的にできることということを重ね合せた結果の案をつくりました。その案をもって、現地の保健チーム、保健師さんたちとの話し合いを8月初めにもつことができ、ようやく六大学の支援にこぎつけることができました。それ以降のところは小原先生に説明してもらえばいいかなと思うのですけども。小原:具体的に六大学が入ったのは10月からです。当番大学を決めて、月に2回ずつ入っていくポイント支援です。実際の活動は3時間ぐらいです。そのコマンダーは、地域の保健師さんです。皆さんご承知のように、陸前高田市は9人中6人の保健師の方が流されているので、支援に入っている外部の統括支援保健師の方がトップにいて、その人の統括の下で、現地保健師の方たちとの協働で活動が展開されています。私たちがどこの場所で活動するのかというのは、保健師の方たちの調整で決定されていきますが、プログラム内容と日程については、こちらのほうで決定しています。東浦:具体的には、どんなプログラムを作ったんですか。小原:基本的に健康を維持するような、健康体操等を行っております。本学が12月に行ったのは、健やかなる口の体操、いわゆる健口体操やソフトマッサージ等ですね。それからお茶会、お茶会を中心に行ったほうがいいだろうというような時期になっていたのですね。まだ住民さんたちがお互い知り合いになっていない仮設住宅もあるので、自分たちの思いを言い合える機会を提供することで、お互いに知り合っていくことは、新しいコミュニティ作りには大変に重要です。東浦:阪神・淡路のときは、仮設入居でコミュニティが壊れちゃった。それが問題になったわけで、今度は、一緒にということだったんじゃないんですか。小原:いえいえ。東日本大震災の場合も、元のコミュニティ同士で一緒の仮設住宅に入ることは、被害状況から非常に難しいですね。中越ではそれができたのですけど。東日本大震災でも、そういう所もあるかもしれませんが。仮設住宅でも小規模の場合、集会室が設営されません。そのような事情もあって、現実的には、地域の方が一緒にということの方が少ないと思います。だから、孤立してしまう傾向は多分にあるのではないかと推察しています。12月の活動でも、参加者の会話は「あなたはどこら辺に住んでいるの?」から始まります。そういう意味では、六大学プロジェクトはコミュニティのきっかけ作りになっていると思います。ある意味でコミュニティ再生への支援みたいなところです。今、それが一番重要で、価値があることに気付けました。各月当番の大学が行った実施計画や実施記録は反省も含めて。全部、現地の保健師に送っています。今後の課題として、住民さんたちが、受益者ではなく、参画していく側に立っていくことが必要な時期に来つつあるので、支援方法を変えていくことが求められると思います。実際には、受益者としての支援と参画への支援は半々と考えています。私たちは現場をずっと見ているわけではありません。六大学プロジェクトと言っても、六大学の中、同じ大学の同じ人間が継続的に行っているわけではありません。私達も12月になって初めて現場に入りました。今後も本プロジェクトを継続する場合、中・長期の看護を学術的にもまとめていくというのは、84人道研究ジャーナルVol. 1, 2012