「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 88/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012日赤の医療救護、急性期だけで良いのか?問い直しが必要原発問題といわき市へ避難している人々への支援東浦:その一方で、先ほど、今回の場合には原発問題があって、福....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012日赤の医療救護、急性期だけで良いのか?問い直しが必要原発問題といわき市へ避難している人々への支援東浦:その一方で、先ほど、今回の場合には原発問題があって、福島の方々が、いわき市に避難しているということで、今日から新しい事業が始まるということでしたけれども、その辺について、浦田部長どうですか。浦田:その前に、今、学長と小原先生が、一応3月で打ち切りだけれども、そのあとは、また計画をし直すとおっしゃっていますが、やはり赤十字の救護の在り方自体を、少し枠組みを新たに考えていく必要があるだろうと今思っています。今まで、救助法で救護を行うというのが大前提でありましたので、急性期中心だったわけです。今回、このように長期に、ニーズがあり、被災自体があまりにも大規模で、被災地の医療従事者そのものが少なくなっているので、自力で復興はなかなか図れない。そこで救護は、急性期だけでは済まないという話なんですね。ですから、赤十字がどこまで、中・長期の救護の在り方の枠組みを、新たに考えていくかという課題があります。また、今回の福島の被災は、原発に関わることで、チェルノブイリの例がありますけれども、日本でも、世界の中でもあまり例のないことなので、どのように支援したらいいのかというのは、実は明らかでない。今回の例を事例にして考えていかなければならないことなので、私たちも、どこまでどのように支援するというのがまだまだ難しいところなんです。今回は、たまたま行政のほうから支援の要請がありました。その要請は、地域アセスメントや、地域プランの支援でしたので、国際救援の開発協力の専門家の方たちが支援できるだろうという判断のもとに出しました。東浦:赤十字は、最初から、この被災者の最初のとこだけじゃなくて、ずっと寄り添いますよということを、確か掲げていると思っているんですが・・・。浦田:そうですね。それは、資金の問題も大きくあります。救助法で示されているお金というのは急性期が主ですので、あとは、赤十字の中でその資金を作っていかなければならないというのもあります。そこを、どう考えていくのかということも課題です。東浦:海外からは、相当な支援金が来ていますよね。浦田:そうですね。まだまだ全体がきちっと細かく予算化されているわけではありません。主に、被災者の方々の必要物品とか、被災地の医療復興や今後の体制の整備など計画され、実施しています。実際の派遣に関わるお金とは、今のところそんなに明確にされていないものですから、どこまで救援活動を引き受けるかという辺りが難しい状況にあります。東浦:五十嵐さん、今年度は、研究費の若干の残りがあったのでできたとかというお話ですけれども、なかなかそうはいかないでしょう。五十嵐:そうですね。こういうことというのは、前から用意しているわけじゃありませんので、災害が起こったときに、高田先生のお話にもありましたけど、問題を解決するためには何をしていったらいいのかと経費の捻出を探って、たまたま多少なりとも研究費の助成金が残っていたので、そ86人道研究ジャーナルVol. 1, 2012