「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 9/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012柔軟な対応には、迅速な人員配置力が必要です。その点、コートジボワールや、過去に活動経験がなかったリビアでは、この人員配置力をICRCの強みとして発揮することがで....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012柔軟な対応には、迅速な人員配置力が必要です。その点、コートジボワールや、過去に活動経験がなかったリビアでは、この人員配置力をICRCの強みとして発揮することができましたし、今後もその重要性は変わらないでしょう。チュニジア、エジプト、イエメン、シリアなど北アフリカから中東地域にかけて、民主化の波が押し寄せ、暴動や戦闘にまで発展。このような人道的危機の中で、ICRCの働きがより明確になりました。北アフリカや中東地域においては、医療施設および医療従事者に対する暴力行為が、深刻な人道問題として現れました。これは、今日放置されている人道上の課題であります。ICRCは、紛争地域およびその他の暴力を伴う事態が起きている地域において、医療への攻撃に対応するため、数年間のプロジェクトを立ち上げました。ICRCの現在および今後の優先事項の二つ目は、「早期回復活動」です。食料配布などの緊急支援でできることには限界があります。紛争の被害者たちが独立して生計を立てられ、自己の尊厳を確立していけるよう、私たちも支援をしていきます。ICRCは、長年にわたり「早期回復活動」を実行してきました。2011-2014年目標として掲げた戦略にもあるように、短期間の緊急状態に対応するだけでなく、長期にわたり、強固に体制を整え、効果的なプロジェクトを行う必要があります。関係者・組織と対話を続けていきます。研究では、国際的であれ非国際的であれ、武力紛争を規制するための適切な枠組みとして、国際人道法が依然として効力を持っていることが明らかになった一方、特定分野においては法を強化する必要がある、という結論に達しました。ICRCの優先順位は4点:自由を奪われた人々の保護、国際人道法の遵守と被害者への補償、自然環境保護、国内避難民の保護です。ICRCは、2011年末にジュネーブ行われた赤十字・赤新月国際会議において、ICRCは、この研究を続け、自由を奪われた人々の保護や遵守メカニズムに関する提言をまとめるよう、求められました。赤十字・赤新月国際会議では、「Health care in danger」が、災害関連の法律の強化および地域に根付いた人道的活動を強化していくことと同様に優先課題の一つでした。「Health care in danger」は、武力紛争や暴力を伴う事態において、医療への尊重と安全を確保し、医療行為を妨げる問題を訴えていこうという取り組みです。同会議では、ICRCと各国赤十字社・赤新月社との連携の重要性が明確になりました。各国赤十字社・赤新月社およびその他の関連組織との協力関係の強化・発展は、現場の状況を最大限に理解するためにも大変重要です。2012年以降、ICRCは、自分たちの任務に関係している法律や政策に関して、人道的な議論を盛り上げてきたいと考えています。これには、人道活動の将来像や他組織との調整なども含まれます。他組織との調整をすることで、一般論的な議論を超え、被害を受けている人々に、最大限の支援と保護を図りたいと考えています。最後になりましたが、日本赤十字社に対して心より感謝を申し上げます。優秀な医療・その他スタッフをICRCに派遣して下さることだけでなく、財政面および外交面でのサポートに対しても、心より感謝申し上げます。歴史ある赤十字社の一つであり、専門知識や情報も豊富に持っている日本赤十字社と、さまざまな地域で共に活動できることは、私たちにとって常に大きな喜びであり、名誉なことです。注)赤十字国際委員会駐日事務所訳人道研究ジャーナルVol. 1, 20127