「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 90/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012かと思っております。それから、もう一つは、看護の科目中に、小児、母性、成人、高齢者の看護等があるわけですが、今、災害看護の教育は、どうしても急性期ですね。そ....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012かと思っております。それから、もう一つは、看護の科目中に、小児、母性、成人、高齢者の看護等があるわけですが、今、災害看護の教育は、どうしても急性期ですね。それぞれの科目の中に、災害看護というものをもう少し入れていかなければ、きめ細やかなケアはできないだろうと思っています。それから、救護班の日誌を見て、どんな患者さんが来て、何がニーズか知ろうとした時、記録には、何人来たかとか、何の疾患だとか、その程度の記録でした。ですから、看護をそこから拾おうと思ったときに、何にも出てこなかったんですね。それで、急きょ4月頃、救護に行った看護師に、アンケートを採りましたら、やはり実際の活動は、診療の活動がほとんどでした。看護ケアは、数%でした。それで、なぜしなかったかの質問には、ニーズがなかった、もしくは、ニーズがあってもできなかった、ニーズの把握ができなかったという答えがかなりありました。ニーズがなかったというのは、診療活動の中では、避難所の生活の把握ができなかったのではないかということと、3泊4日の短期間の派遣で救援を行っていますので、その中ではなかなか見えなかったんだろうと思います。また、教育の中に、災害看護は、急性期を中心とした教育が多かったと思います。従って、そこまで発想していく認識が十分ではなかったのではないかと思っているんです。それで、教育の在り方も変えていく必要があると思っています。もう一つは、現地にコーディネーターがいないんですね。じっくり全体を把握し、人を配分し、システム化していく人がいません。医師のコーディネーターはいましたけども、看護職のコーディネーターもいて、意見を言って、看護の側面もシステム化できるような、そういう人が必要だと思いました。東浦:2泊3日だか、3泊4日で変わっていっちゃう。そこに引き継ぎは確かにあるかもしれないけれども、全体が見えない。ただ単に、そこに来るお客さんである被災者・患者さんの診療だけをしてしまう。それだけで、あと、ほかのことは見えない。浦田:見えない。そうですね。東浦:こういうことが、やっぱり問題なんじゃないか。海外での国際救援にしても、ERU(緊急対応ユニット)は3ヵ月ないし4ヵ月間現場にいる。でも、それが1ヵ月ずつ交代になっている。その間を継続的にずっと見ている人がいない。この辺のところが問題だということを、私自身、かなり昔から言ってきているのですけれども、変わらない。わが国の場合の医療救護班というのは、派遣している病院の都合もあり、どうしても3泊4日ぐらい。これだと、やっぱり周囲の状況が全然見えないですね。コーディネーターの常駐が必要だと思います。それから、おっしゃった看護には種々の領域があるわけだけれども、その中に災害についてのものの考え方が、入っていたか入っていないかということになると、確かに、一部の教科書には、入っているのもないわけじゃないけれども、数少ない。浦田:もう一つ。救護員は、自己完結型が求められるわけですが、今回、石巻の場合は、石巻赤十字病院にかなり多くの救護班が常駐したんです。そうすると、病院の機能にものすごく影響を与えたと思うんです。食事をするにも、寝るにしても。88人道研究ジャーナルVol. 1, 2012