「人道研究ジャーナル」創刊号

「人道研究ジャーナル」創刊号 page 93/216

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Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012の地方で実施するのか、あるいは、本社が出張っていって、本社の指揮下のもとにやるのかということが救護体制として決まっている。日本はまだ幕藩体制が残っている。今....

Journal of Humanitarian Studies Vol. 1, 2012の地方で実施するのか、あるいは、本社が出張っていって、本社の指揮下のもとにやるのかということが救護体制として決まっている。日本はまだ幕藩体制が残っている。今度だって、義援金が集まってくるけれども、すぐに配られない。被災市町村が罹災者証明をすぐに出せないもんだから、なかなか配られない。死者、負傷者、家屋の全半壊でいくらという伝統的な基準を決めると、義援金の配分は遅れることは分っていたと思うのです。避難所にいる人に小額でも配るという臨機応変なこともできない。日赤の支部は人数的にも日ごろから少ないわけですから、救護体制そのものについての見直しというのが必要ではないかと思うのですけどもね。五十嵐:さきほども述べましたが、施設という面では、病院、それに関連する医師、看護師、医療関係者、これらの方々の動きというのはシステマチックなんですね。一方で、組織的には病院は支部の管轄下ですし、支部の組織も各市町村の地区分区、そこの奉仕団の方々を含めた組織は、医療施設が持っている機動力とかに比べれば、はるかに限りがあった。そこは、やはり日本赤十字社の基盤である社員組織とか、その地区分区組織というのが、こういう大きな災害では被災者支援に対応できる組織になっていたのかどうかということをやはり検証していかないと思います。行政とのつながりという点でも、今あるシステムとか現行の規則とか想定範囲内での活動はもちろんできたのですが、それを超えたところで、今回、図らずも再認識された地区分区・ボランティアの組織、救護の専門性といった面には課題が残っているのではないでしょうか。そこを克服していくという必要性とともに、今ある日本赤十字社の基盤である組織をもう一度見直しをしてゆく必要があるのではないかということを強く感じました。東浦:小原先生、いろいろな災害現場に、今までずっと長いこと入っていらっしゃいますよね。今、お二方から、今回の救護を踏まえて、教訓・課題についてのお話があったと思うんですけれども、小原先生からご覧になってどうお考えですか?小原:私は、赤十字だけでなく、赤十字外での活動にも取り組んできました。その中で思うのは、阪神・淡路大震災のときよりも、保健師さんが大活躍なのです。ですから、さっき地域に根差した活動をどういうふうに持っていくのかについて、それは、赤十字というよりは、行政の市町村の保健師さんたち、それを支援する保健師側のほうが、ある意味、状況把握をしていますので、赤十字もその中の統括下というか、その指示下で、そこの救護班はこの救護所に、この避難所に行ってくださいとかというふうな場面を見ました。先ほど浦田看護部長さんもおっしゃっていましたけれども、赤十字の活動の範囲を広げていくのか、広げていく場合はどこまでとかおっしゃっていましたけど、ある赤十字外の活動組織がどんどん進化していく事実を受け止めること、あと、中・長期的な活動はNPOが継続的に取り組んでおり、活動のエリア中では成果を上げている事実もありますので、赤十字は、他組織から学ぶ姿勢が必要と思っています。特に、中・長期に関しては。急性期の救命救急や避難所の救護対応について、赤十字は130年以上の歴史があって、今回も、被災者の皆さんは、活動を通し赤十字に対して、本当によくやっていただいたという声を聞きました。そのあとの中・長期における看護活動をどのように継続させてゆくのか。看護ケア班も出ましたけれども、8月で一応けりをつけたということでしょうか。人道研究ジャーナルVol. 1, 201291