「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 110/276

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013シ」ことを定めている。その名宛人が「軍隊」とさ「人間は、人道及び文明の大原則をその良心に深く植れているように、ハーグ法の普及の目的は「不必要え付けるため、幼年時代からそれに慣れ親しむような苦痛を制限する」ための軍事行動の規律にある。しなければならない…ジュネーブ条約を広く普及す一方、赤十字運動にその起源をもつ戦争犠牲者のることは単に戦時に際してその適用を円滑にするだ保護を目的としたジュネーブ法は、1906年の第二回けにとどまらない。それはまた人道の法則を流布し、赤十字条約において、「締約国は、この条約の諸規定各国民の間に平和の精神を発展させる上に貢献する」を広く人々に知らしめるために必要な措置をとるもとし、これまでの戦闘員や救護員としての権利義務のとする(26条)」とし、はじめて普及義務規定を定の周知にとどまらない普及の教育的効果へ期待を寄めた。同条約は野戦・陸軍病院の中立とそこで活動せている。その具体的方法の一例として、同解説はする医療要員や救護にあたる非戦闘員(一般市民)の「条約の抜粋、要約、新聞の論説、時事的興味を盛り保護等を定め、その普及の対象は医療要員及び「負傷込んだラジオ対談等の実施…時事問題に関連して一者を救助する者」としての一般市民が想定されてい般公衆が条約に注意を向けるようにすることも考える。その支障なき救護活動の遂行は、「敵味方の区別られる。現在、国内紛争が頻発しており、そうしたなく」行われなければならず、敵国の憎悪がその障ときこそ、勇敢で独立した新聞は、人道の名において、害となってはならない。従って、条約の普及には救かつ、あらゆる不公平に陥らない態度で語るべきで護員の権利義務と同時に、赤十字とジュネーブ法のある」とし、あらゆる機会を利用した条約普及の努精神も含めることが重要になる。力を奨励している。またこれに加えて、第三、第四条約の普及義務規【1949年のジュネーブ諸条約】定の後段はそれぞれ、捕虜について責任を負う当局、二つの世界大戦の戦間期、国際社会が国際連盟等及び、被保護者について責任を負う当局が「特別のによる紛争の平和的処理制度を模索する一方、国際教育」を受けなければならないとしている。これに人道法の発展は停滞した。国際社会は、国際人道法相応して、収容所職員、警備員(GIII,39条「捕虜収の無知が引き起こした第二次大戦中の惨劇への反省容所内の規律」)、及び、被保護者の監督職員(GIV,99から、1949年のジュネーブ諸条約でさらに精緻化し条「収容所の管理」)といった収容所管理者は条約のた普及義務規定を定めた。規定を確実に知っておくこと、また、いずれもその管理監督の地位にある将校は条約の謄本を所持して締約国は、この条約の原則を(GI ? II:自国のすおくことが義務付けられている。こうして、国際人べての住民、特に、戦闘部隊、衛生要員及び宗教要道法(諸条約)上の義務の名宛人が拡大したことに員に)、(GIII:自国のすべての軍隊及び住民に)、(GIV:より、普及義務規定の対象、内実もまた大きく広が自国のすべての住民に)知らせるため、平時であるりを見せている。と戦時であるとを問わず、自国においてこの条約の本文をできる限り普及させる(disseminate)こと、【1977年の二つの追加議定書】特に、軍事教育及びできれば非軍事教育の課目中にこの条約の研究を含ませることを約束する。(GI~IVの順に47/48/127/144条)「軍事教育」においては、条約の適用及びその違反において責任を負う者への階級相応の教育が実施されなければならず、そのために指揮官には条約の徹底した知識を備えておくことが求められる。特に、戦闘員以外の衛生要員や宗教要員については条約上の特別な権利とそれに相応する義務についての理解が必要とされる。「非軍事的教育」についてICRCの同条の解説では、植民地解放闘争の時代を迎え、複数の民族解放団体の参加も交えた1977年の「国際人道法の再確認と発展のための外交会議」で、1949年のジュネーブ諸条約に対する二つの追加議定書が成立した。これをもってハーグ法とジュネーブ法の規則は大きく融合したと言われる。第一議定書の普及義務規定はその83条で次のとおり定める。1締約国は、平時において武力紛争の際と同様に、自国において、できる限り広い範囲において諸条約及びこの議定書の周知を図ること、特に、諸条約及びこの議定書を自国の軍隊及び文民たる住民に周知108人道研究ジャーナルVol. 2, 2013