「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013エル―日本―レバノン―スーダン―スリランカ―シリア―タイ―ソビエト連邦―ザイールむすび1.現状ICRCの見解によれば、三つの標章の併存は、文化的、宗教的、思想的区別を超越する必要がある赤十字運動の統一性を損ない国際的連帯の理念と矛盾し、結局、保護標章の価値を危うくする。それは誤解や故意の違反の口実になる可能性もある。2.むすび標章の歴史から明らかになったことは、三つの標章のみを認めている現状に至った経緯は、論理的でも公平でもなかったということである。<訳者による補記>赤十字標章を巡る現代の状況と赤のクリスタル標章の採用近年、イスラエルはアメリカの強い支援を得ながらダビデの赤盾標章の承認を得るために積極的な外交活動を展開してきた。こうした粘り強い外交交渉の末、2005年、ようやく、この問題を永続的かつ包括的に解決する道が見出されることになった。こうして既に承認されている三つの標章に加え、これら既承認の標章の使用を望まない国が選ぶことのできる第四の標章として「赤のクリスタル(Red Crystal)標章」の使用を認めるジュネーヴ諸条約第三追加議定書が2005年12月8日に採択された。同時に第三追加議定書は、赤十字と赤新月の二重標章の問題や今後、既存の三つの標章の使用を望まない国が出た場合にはこの標章を選択できることになり、標章問題の恒久的かつ包括的な解決策と提示するものとなった。標章に寄せる威信と信頼は、今後、各国および各国赤十字、赤新月社らがこれらの規則を実際の活動の中でいかに誠実に履行してゆくかにかかっている。(井上忠男記)人道研究ジャーナルVol. 2, 2013115