「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 135/276

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013シンポジウム「災害対応とボランティア」「広がれボランティアの輪」連絡協議会によるシンポジウムが11月1日、日本赤十字看護大学(広尾キャンパス)において開催された。その目的は以下の3点であった。(1)制度等における災害対応ボランティアの位置づけや法制度の動向を学び、問題点を確認する。(2)民間組織どうしの連携の基盤として、災害対応時の基本的価値観を共有・確認する。(3)連携を考えるうえでの参考として、東日本大震災における「広がれボランティアの輪」連絡会議(「広がれ」)構成団体の各団体が初動で取った対応について共有する。主催者を代表して、山崎美貴子「広がれボランティアの輪」連絡会議会長と大塚義治日本赤十字社副社長/学校法人日本赤十字学園理事長の挨拶の後、以下の2つの基調講義とパネルディスカッションが行われた。基調講義Ⅰ「災害対応関係法制度の動向とボランティアの位置づけ」高梨成子(㈱防災&情報研究所代表)基調講義Ⅱ「災害時における国際赤十字の行動規範等」東浦洋(日本赤十字看護大学教授・日本赤十字国際人道研究センター長)パネルディスカッション「ボランティアによる被災者支援の有効性を高めるために」<コーディネーター>山崎美貴子(「広がれボランティアの輪」連絡会議会長/神奈川県立保健福祉大学顧問)<パネリスト>東浦洋(日本赤十字看護大学教授・日本赤十字国際人道研究センター長)村上徹也(市民社会コンサルト/日本福祉大学教授)山下弘彦(日野ボランティアネットワーク)<コメンテーター>高梨成子氏(㈱防災&情報研究所代表)日本赤十字社の大塚副社長は「東日本大震災でボランティアは大きな役割を果たしたが、共通の行動規範等があればもっと力を発揮できたのでは」と提起。また、日赤内部でボランティア組織との連携について議論が始まっていることを紹介した。ボランティア間の連携について、高梨代表は「行政を含めた他機関との連携が重要。災害が起きる前から顔の見える関係の構築を」と強調。基調講演した東浦教授は赤十字と国際NGOの行動規範、国際救援の最低基準であるスフィア・プロジェクトについて紹介するとともに、東日本大震災で海外からの人的・物的支援があったことに触れ、「日本にはこれまで海外からの支援を受ける想定がなかった。今後はそれを受け入れるために、国際災害対応法(IDRL)のガイドラインに基づく国内法整備が求められる」と訴えた。村上教授は、現場での連携を成功させるには「各団体がそれぞれの活動について共同で点検作業を」と提起するとともに、赤十字と国際NGOの行動規範は「国内でも通用させなければならない原則」とした。日野ボランティアネットワークの山下氏は、被災地での経験を踏まえて「抽象的な被災者ではなく、具体的に誰々さんの顔を浮かべて被災者ニーズを把握すること」と活動の原則を強調した。国際人道法(IHL)模擬裁判大会国内予選の開催2013年3月に香港で開催されるアジア太平洋地域の大学の学生を対象とする第11回国際人道法(IHL)模擬裁判に出場するチームを選ぶための国内予選が、赤十字国際委員会(ICRC)、日本赤十字社、日本赤十字学園(日本赤十字国際人道研究センター)の共催、外務省、日本弁護士連合会、国際法学生交流会議(ILSEC)による後援で、12月8日、日本赤十字看護大学(広尾キャンパス)で開催された。国内予選は3回目であり、日本赤十字国際人道研究センターは昨年に引き続き、主催者の一翼を担った。日本赤十字豊田看護大学の河合利修准教授がジャッジの一員となった。参加チームは同志社大学、早稲田大学、大阪大学と神戸大学の混合チームの3チーム。今回の模擬裁判で出題された問題は以下の通り。West Drakonia地方は、民族間対立による混乱と、その事態を受けて行われた住民投票を経て、Bariland連邦の構成国の一つであるKatoland共和国から事実上分離・独立状態にあった。しかし、Katoland共和国の国防相兼軍司令官Calley Jones大佐は、WestDrakoniaの外交路線や政治的混乱が自国の安全保障上の脅威になると考え、軍及び治安部隊を派遣して人道研究ジャーナルVol. 2, 2013133