「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013大阪付属病院による原爆の影響についての臨床報告ケースA男性37歳場所:爆心地から3キロ外傷:ほとんどなし。口の周りのやけど経過:被爆した日からほとんど食欲なし。被爆してから3日後に大阪に到着。熱は40度。強い吐き気。そのため患者としてこの病院につれてこられた。高熱が続き、脈拍は110 ? 120の間を変動している。口周りの火傷は広がり、腫れてきた。歯茎からの出血も見られる。身体に黒ずんだ血の斑点が出てきた。脱毛。健康な男性であれば1ユニットあたりの白血球数が通常6,000 ? 7,000あるが、彼は430まで下がった。栄養補給のための注射と、強心剤の投与も空しく、患者は被爆から18日後に死亡。ケースB男性28歳工場勤務被災場所:爆心地から1.2キロ経過:工場の建物の下敷きになったが、特段重傷を負うことはなかった。患者は口の周囲に火傷あり。その火傷は日を追うごとに広がっていき、歯茎からの出血が始まり、扁桃腺も腫れてきた。頭皮からは全ての毛髪が抜け、ケースAのように全身に溢血斑が出始めた。白血球数は2,000に下がった。被爆から16日後に死亡。双方ともに過度の放射線治療により脾臓と肝臓が肥大化するという同様の症状が見られた。ケースC男性26歳場所:爆心地から約1キロ外傷:特になし経過:4、5日は元気に活動しており、市内の救援?救助の手伝いもしていた。その後急に食欲を失い、身体が衰弱し始め、下痢と40 ? 42度の高熱に襲われた。また痰に血が混じるような強い咳が始まり、歯茎から出血もし始め、現場投下日から11日後に死亡。ケースD男性38歳会社員被災場所:広島市近郊外傷:特になし経過:市内の救援活動に1週間程従事する。自宅に帰宅するとすぐに死亡。死亡直前の症状は以下の通り。脈拍が急速になり、身体は硬直しながらも意識は死ぬまではっきりしていた。このケースでは、治療を施す機会はなかった。原爆投下後、すぐに爆心地近くに出向いて救護、救援活動を行った人ほど最も深刻な症状が現れているように思う。負傷して担架で運ばれていった人の方が放射線被害は少ない。この大阪付属病院には約400人の患者が運ばれ、平均40人の患者が毎日亡くなり、上記ケースにおいては助かる見込みが全くないように思えた。人道研究ジャーナルVol. 2, 2013143