「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013の食糧の価格高騰の後、アメリカで起きた干ばつの影響を受け、いくつかの農作物の価格が急騰したことは、経済的・社会的に不安定な国に影響を及ぼすのではないかと懸念されます。2012年のICRCの活動2012年、危機的な状況にある国において、ICRCは多くの民間人の尊厳を守り生活を支えてくることができました。特にアフガニスタン、コロンビア、イラク、イスラエルと占領地区、マリ、ソマリア、シリアやイエメンなどがその一例として挙げられます。組織の中立性、独立性、公平性に対する課題に直面しつつも、ICRCは難しい状況の中でも、政府・反政府に関わらず多数の武装勢力と関係を構築することができました。ICRCの活動の重要な鍵となっているのが、各国赤十字社・赤新月社との体系化され、順応性のある連携と組織構成、そして困難な状況においての危機管理への個人と組織の準備態勢です。2003-2005年以来、2012年は安全面では最も難しい一年となりました。上半期中に三件もの人質事件に巻き込まれ、悲惨なことにパキスタンで誘拐された職員は殺害されました。このことでICRCは現地での活動を大幅に縮小しました。イエメンでは、空爆に巻き込まれた職員が命を落としました。さらにアフガニスタン、DRC、リビア、ソマリアなどでも安全を脅かす事態に遭遇しています。ICRC職員のみならず、各国赤十字・赤新月社も同じような課題に直面しています。例えば、シリア赤新月社では、2012年9月までの一年間で4人の職員を失くしています。このような厳しい状況の中、ICRCは2012年の初期計画で当てていた現場活動費約864億7,950万円に加えて、三件のプログラムの活動延長費、合計約62億380万円をかけて、積極的に取り組むことができました(シリアに約24億5760万円、そしてニジェールの首都ニアメー地区での二つの延長を合わせた約37億4630万円となります)。計画当初約66億1340万円あったパキスタンの活動費は約37億1630万円に縮小されました。2013年のICRC主要課題アクセスの質と活動範囲ICRCの宿題であり基本的な課題となっているのは、必要としている人々および個人に支援の手を差し伸べ、行き届かせることです。2013年の活動資金協力要請額は、昨年の初期計画活動費を少し上回る9億8,870万スイスフラン(約968億5,300万円)です。これは武力紛争やその他の暴力を伴う事態が原因で、多様化する人道危機に対するICRCの決意を反映しています。2013年は約40億円以上の予算を投入して活動を行う国が7ヵ国あります。最も大規模な活動を行う11の国・地域は、以下の通りです。アフガニスタン(約86億4,140万円)、イラク(約66億4,340万円)、ソマリア(約66億1,340万円)、DRC(約58億7,410万円)、南スーダン(約56億7430万円)、シリア(約51億1,490万円)、イスラエルおよび占領地区(約46億8530万円)、スーダン(約38億9610万円)、ニアメー地区(約37億4,630万円)、イエメン(約33億9660万円)、コロンビア(約33億1670万円)。武力紛争やその他の暴力を伴う事態は多様化し続けています。それぞれに特化した対応が求められていて、そのような要求に応じるためにも、様々な取り組みの模索と改善を続けています。このためには、まず支援を求める人を対象に、質の向上のための調査と分析が必要となります。つまり早い段階から支援対象となる人の意見を取り入れながら、対応策を考えるのです。また、支援を必要とする人々の立ち直る力を大切にしながら、様々な支援を提案することもICRCには求められています。ICRCは緊急かつ深刻な事態、そして長期化した武力紛争に起因する複合的な危機に焦点を当てていき、被拘束者、負傷者や病人、身体の不自由な人、避難民、そして特に女性と子どもへの支援を拡大していきます。業務と安全管理ICRCの予算は、人道危機への対応を最優先に、アクセスと受け入れ体制の確保、そして目標を達成するための取り組みなどを考慮した上で決定します。人道研究ジャーナルVol. 2, 201313