「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 155/276

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013(20)その他、そして返信事項a)ビルフィンガーの件についてたった今、ゴルジェ公使を介して貴信を落手いたしました。御照会の諸点について以下のようにお答えします。(1)第788号電により私がビルフィンガーからのメッセージを御連絡したことにつき、本部の皆様方がかくも驚いておられることが私には理解できません。むしろ、このメッセージが示しているのは、大急ぎで駐日代表部を辞めてしまいたいという意思がビルフィンガーにあったということです。(2)第788号電に合致しており、かつ同人との面談にもよって確認したことですが、私が打電した第20号電でも述べておりますように、ビルフィンガーは10月1日には離日する予定であったことを私は申し上げております。これについてはコメントの必要はありますまい。と申しますのは、本部の皆様方は第788号電を受領なさっているのですから。にもかかわらず、ビルフィンガーが既に代表ではなくなっていることを御存知でありながら、本部は代表部経由でビルフィンガー宛てに貴電第2395電を打電なさいました。当該打電済メッセージを代表部付の外国籍人員宛の通常電報であると本部の方でお考えになっていたとすれば、当該電報の内容は「本来ならば家族の消息に限る」という原則に抵触していることになります。(3)もし(チャイニーズ・)アルミニウム(ローリング・ミルズ)社がビルフィンガーの住所を知らなかったとしても、同社は打電する前に我々に照会することができたはずです。(4)ビルフィンガーが受け取ったりまたは送信した電報の写しを、私は本部に提出することはできません。と申しますのは、彼自身がそれらの写しを一度として当代表部に提出したことがなかったからですし、彼のプライベートな写しはGHQでの尋問時に押収されてしまったからです。前述いたしましたように、私はこれら2通の電報写しをGHQで見ました。1通はビルフィンガーが打電し、もう1通は彼が受信したものです。2通とも在上海の彼のドイツ人部下に関したものであり、ジュネーブも駐日代表部も中継したようには見えません。しかも、これら2通の電報は「ビルフィンガー・インタークロス」と付されており、これがGHQの検閲局の関心を引き、今回の事件の出発点となったのです。その他の点については、私に全幅の信頼を置いて下さるようにお願いします。と申しますのも、連絡手段という点ばかりでなく現下の状況により、事の推移を本部に逐一御報告することが私には不可能だからです。お願いしたいことが一つあります。もしビルフィンガーが私やストレーラー女史に先立ってジュネーブに到着したならば、同氏にはなるたけ冷淡に接遇し、かつ私からの包括的報告が届くのを待ってから氏の弁明を受けるようにして下さい。添付致しました書類を御覧下さればおわかりのように、当初私は彼に全幅の信頼を置くべくあらゆることを為したのですが、ビルフィンガーはその信頼に大きく背くことをしでかしたのです。そして、その点は彼自身がその弁明書の中で認めています。b)(代表部の)業務資金に関する電報の送信について当代表部で処理することを任されているところの業務資金の問題についての概要を、私たちはGHQに提出せねばなりませんでした。本部の方にも当該概要の写しを提出致します。これに対して御回答を下さるようにお願いします。c)海外からの日本人の引揚貴電第2389号電について。私は即座にこの重要案件総てをGHQに託しました。つきましてはその写しを本報告に添付致しますGHQ側からの回答は私のもとにはまだ届いておりません。なぜならば、様々な指令ばかりかワシントンの本国政府の意向をも勘案されねばならないからです。本件について私が長時間にわたって会見したところのウィロビー准将……(21)は私に次のように説明しました。すなわち、「GHQとは連合国軍のGHQなのではなくて、連合国軍のためのGHQである。この事実ゆえにこそ、マッカーサー将軍は命令を下すことができないが、自らの意図を踏まえた指令を通知することができる。だからこそ、異なる作戦方面ごとの司令部により下令されるのである。しかしながら、GHQからの事前通告は極めて重要であり、一般的にも人道研究ジャーナルVol. 2, 2013153