「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013この軸となるのが、取り組みの効果と現場職員の安全のバランスを取ることです。ICRCは、政府、武装・治安部隊に対して、組織の活動を理解してもらえるよう関係を築いてきました。わずかな不適切な言動などで崩れてしまう関係のため、受け入れてもらうために長い時間をかけることが必要となります。状況に応じて関係者と話し合いをすることもICRCの活動を遂行するためには重要です。武装勢力など紛争当事者の多様性を考慮した上で、常に調整をしながら関係を構築していく必要があります。信頼関係を築き、継続することは容易なことではありません。2013年の予算には、不安定な環境の中で特定のニーズに対応するために幅広い活動が反映されています。多角的な対策が求められる危機管理は、ICRCにとって大きな課題で、油断が許されない状況です。多組織との関係構築ICRCは変化する国家間の関係の対策として、多角的な関係構築と維持に努めています。すでに関係のある組織と継続する一方で、国際社会で重要な役割を果たす組織との関係拡大にも力を入れています。このように相互理解とビジョンの共有に努めることで、ICRCの活動を持続することが可能となるのです。赤十字のパートナーシップと調整赤十字運動内でも、いくつかの赤十字社が同じような活動をしています。ここでICRCは、パートナーと協働で事業を展開していくことが重要となってきます。2013年は、自国で活動を続けてきた各国赤十字社との連携をより一層強化し、緊急事態や長期化する紛争に対応していきます。さらにパートナーの各国赤十字・赤新月社の、医療・外科チームなどの緊急派遣の動員を強化していきます。強力なパートナーシップは、ニーズ対応の向上のみならず、紛争下における各国赤十字・赤新月社の主体性を保つことにもつながると考えます。ICRCは、女性、子ども、離れ離れになった家族を支援するNGOなどの他機関との連携を継続していきます。また医療に関連する事業には国境なき医師団(MSF)、南スーダンやシリア周辺の難民問題では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連世界食糧計画(WFP)、そしてその他の事業で精力的に活動する新たな団体とも協力していきます。結論ここ10年、ICRCは幅広い、かつ専門的な取り組みを実施してきました。関係者との繋がり、活動の手順、チームの構成やパートナーとの体制を多様化することで、支援を必要とする人々に届けてくることができました。同時に、職員の危機管理と保護は必要不可欠となります。2013年の活動資金協力要請額を発表するにあたり、武力紛争やその他暴力を伴う事態によって様々な犠牲を払った何百万人もの人生と、そのような状況におけるICRCの対応に焦点を当ててきました。ここで紹介してきたことは実行に移し、結果を出していくという組織の実績を反映しています。ICRCは各ドナーからの熱心さと多大なる外交的・経済的支援、そしてICRCの独立性と中立性への信頼に深く感謝します。ICRCの12,000名の職員は、被害を受ける人々の状況を改善することに日々業務を遂行しています。このことは今後も職員全員の決意、そして基本的理念であり続けます。14人道研究ジャーナルVol. 2, 2013