「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013を御理解下さるのではないでしょうか。広島について私は目下、影響、言うなれば、広島市に及ぼした原子爆弾の影響についての報告書をも準備している最中です。私が思うには、この問題は将来にとって最も深刻なものとなるばかりか、論ずるにあたっても、この上もなく微妙な問題となることでしょう。私が本報告書に添付いたしました数々の写真は、日本外務省経由で、あるいは私が広島市に滞在中に広島の市当局と軍当局とから入手したものです。これらの写真は貴重なものですから、私が帰国するまでにはピクテ氏のもとで保管して下さるようにお願いします。広島から東京にもどるや、私は連合国軍最高司令部に電報原文を提出しました。私はそれをジュネーブの本部にもお送りするつもりです。その電報の中で私が特に伝えようとしたのは、半壊した病院に必要な仮設病棟と板ガラスを求めている広島市当局からの援助要請でした。私がこの要請を取次いだ相手であるサムス軍医大佐は、私に対して電文のうち援助を要請している部分を書き改めるかまたは削除するようにと求めました。(4なぜならば、大佐は、日本側の連絡委員会)の代表から公式に「(日本)帝国政府が医薬品、仮設住宅等々を十分に満たすことができる」と連絡を受けているだけに、驚いたからなのです。サムス大佐が付言したことによると、「最高司令部側から日本側にアメリカ軍の兵舎の提供を申し出たが、辞退を受けた」とのことでした。しかしながら、機会あって私がこの問題について日本赤十字社と日本政府外務省と話し合った時には、双方とも日本側連絡委員会からの回答に驚いていました。と申しますのも、日本全体としては外国への援助を要請すべきだと強く感じられているからです。もっとも、一般的な軍政方針―私としてはこれを尊重することが得策であると考えておりますし、これは特にアメリカ軍による占領下にある国では、占領軍当局側からの合意を取り付けずして何かしら行動を企てるべきではないという原則なのですが―に従い、私としてはこれ以上は固執しませんでした。アメリカ軍側の方針というのは、「日本帝国政府が以上の意味において自前の資材を用いてなし得ることを総て講ずるまでは、日本側非戦闘員への救援策としては何もなすべきではない」というものであるように思われます。戦争犯罪人戦争犯罪人収容の巣鴨プリズンをも含めた日本国内総ての刑務所を監督しているハーディ大佐から、ほぼ5週間前になるのですが、当代表部に対して、横浜刑務所に1名の代表を派遣してほしい旨の要請がありました。できれば女性の代表が望ましく、戦争犯罪に類した嫌疑をかけられて、戦争犯罪人らと共に当刑務所に収監されている2名の女性に接見してほしいとのことでした。そこでストレーラー女史を指名しました。当の2名の女性に対してのみならず、要求してきた総ての被収監者らに留守宅の家族の情報や個人的な身の回り品を取り次ぐことによって、彼女はたいそう役立ってくれました。その時以来、こうした差し入れの範囲が広がり、アングスト夫人およびペスタロッチ氏までもが、何度も足を運んでくれました。私自身としてはこれらの刑務所を訪れるだけの時間がありませんでしたが、これらの刑務所への差し入れにあたっての原則問題について、アメリカ軍当局に照会してみました。私が思うには、赤十字国際委員会はその歴史上初めて全く新しい種類の業(5)務を担当する破目になったのではないでしょうか。すなわち、捕虜でなくそして国際法上収監されているのでもないところの囚人に差し入れをするというのですから。もし同様な境遇に置かれた人々のために私たちが同様な差し入れ行為を企てるのであれば、国際的世論をある程度まで代弁している然るべきジャーナリストらにより私たちは批判されるのではないかと私は思います。以上述べた理由により私はアメリカ軍当局からの公式な書類をいただきたいと考えましたので、その写しをここに添付いたします。この点に関する本部の御意見を御開陳下さり、かつ、このように刑務所を査察しては差し入れをすることが、ドイツにおける赤十字国際委員会代表らに認められているかどうかを御連絡下されば幸甚です。どうか御留意願いたいのですが、これらの刑務所の責任者であるハーディ大佐が私どもの差し入れ行為にどれほど喜んでいることでしょうか。現在はアメリカ軍が戦争犯罪人らを収容するために使用している大森収容所を視察に訪れたことは、かつて日本国内人道研究ジャーナルVol. 2, 2013159