「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 166/276

電子ブックを開く

このページは 「人道研究ジャーナル」Vol.2 の電子ブックに掲載されている166ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013〈参考資料Ⅳ〉核兵器に関する赤十字の決議と日本赤十字社1945年の広島・長崎への原爆投下を受け、国際赤十字は第二次世界大戦後からいち早く原爆問題を取り上げ、国際会議等の場において、原子兵器の使用禁止にかかる決議を採択していった。日本赤十字社は、決議内容の検討作業に主要社として参加してきたほか、戦後開催された赤十字の会議において核兵器禁止に向けた提案を行い続けてきた。1.1946年第19回連盟理事会(オックスフォード)日本赤十字社の参加は認められず。1925年に採択されたジュネーブ条約を拡大し、同条約で禁止する毒ガス及び細菌に続き原子兵器の一項を追加する提案を次回国際会議へ投げかけた。2.1948年第20回連盟理事会及び第17回赤十字国際会議(ストックホルム)決議24日本赤十字社はオブザーバー参加。原子兵器の禁止については従来の条約では不十分であるとして、新協定の必要性を訴えた。〔無差別的武器〕目標を正確に定めず大区域を無差別的に荒廃せしめる無差別武器の使用は…文明の将来にとり危殆をもたらすものであることを認め…原子力あるいはそれと同様なるものの戦争目的のための使用を絶対的に禁止すべきことを厳粛に要請する。3.1950年第21回連盟理事会(モンテカルロ)〔赤十字と平和〕…各国政府に対し、無差別武器の使用、そして原子力やそれに類する技術を戦争目的に用いることを防止し、禁止するための効果的な手段を講じ、それを継続するよう、引き続き誠意をもって求める。4.1952年第18回赤十字国際会議(トロント)決議18〔原子兵器〕各国政府が、一般軍備縮小の枠内において、原子兵器の禁止と原子力のただ平和諸目的のためのみの使用を保証する原子力の国際管理計画に同意することを勧告し、すべての各国赤十字社が、それぞれの国の政府に、右の計画を支持するよう要請することを要求する。5.1954年専門家会議への出席1954年赤十字国際委員会は核兵器禁止の実現性を協議すべく、各社から招かれた専門家による会議を主催した。国際委員会からの要請を受けた日赤は、都築医学博士(原爆症第一人者)及び榎本重治(国際法権威)両名を代表団として派遣した。都築博士は原子及び水素爆弾の使用・実験が人体に及ぼす影響について報告を行い、唯一の被爆国である日本の訴えは、会議参会者に深い印象を与えることとなった。6.1954年第23回連盟理事会における提案これまでの国際会議決議では、原子兵器の禁止にのみ主力が置かれていたのに対し、日赤は1954年、ノルウェー・オスロで開催された第23回連盟理事会において、インド赤及びスウェーデン赤とともに原水爆実験禁止に踏み込んだ提案を行なった。原案は賛成38、反対0、棄権6をもって可決され、連盟理事会は「原子力が平和的目的にのみ使用されることを確保するため原子力の国際的な有効な管理を行なうこと」及び「国民を原子力実験からの危険と損害から守るため有効な措置を講ずること」を各国に要請する決議を採択した。第23回連盟理事会(オスロ)決議1〔原子核、毒ガス及び細菌戦〕…最近の実験は、人類が原子核兵器の使用により大きい危険にさらされていることをはっきり証明したので、…すべての国家に対して1紛争の平和解決のための努力をさかんにし、2一般的軍備縮小のためたゆまずつとめることを続け、3すべての原子力核兵器の使用および窒息性、有毒性ガスや細菌戦の利用を絶対かつ有効に禁止することに同意し、4原子力はただ平和目的のみ使用することを確実ならしめるような、有効な国際管理を樹立し、5すべての国民を原子力の実験から発生する危害から守る迅164人道研究ジャーナルVol. 2, 2013