「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 192/276

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013添付文書7AG/2.8/1付属文書1「赤十字・赤新月の災害救援活動の原則および規則」の改訂コンセプトペーパー:協議プロセス案背景「赤十字・赤新月の災害救護活動の原則および規則(P&R)」は、1954年に連盟理事会に向けて初版が作成された。これは1969年の赤十字・赤新月国際会議(以下「国際会議」)で採択され、その後1973年、1977年、1981年、1995年に修正された。現在の1995年版は、1969年版とその後の修正を完全に見直した結果である。P&Rは、赤十字・赤新月運動を構成する各組織の災害対応における手順や役割、責任を定めた重要な文書であり、国際災害救援活動における準備や連携のための手順を確立している。「赤十字・赤新月運動の規則」や「連盟憲章」は、P&Rを引用し、災害対応はP&Rに基づいて実施しなければならないと規定している。1.1 P&R改訂の決定2007年10月、第16回理事会は「津波の教訓の活用(Learning from the Tsunami)」プロセスと2007年8月にクアラルンプールで開催された津波フォーラムの成果や提言に留意し、津波その他の大規模災害対応の経験をもとにしたP&Rの改訂を視野に入れ、幅広い協議を開始するため、特別作業部会の創設を決定した(決議07/02/16)。2008年5月、理事会は、下記の項目と現在進行中の災害管理ポリシーの改訂プロセスを考慮したP&R改訂のための作業部会向け評価指標を承認した。ⅰ)津波その他の大規模災害への対応から学んだ教訓、ⅱ)改訂版連盟憲章、ⅲ)新しい活動モデル、ⅳ)セビリア合意とその補足条項その意図は、明確で実用的、現実的なP&R最終版を2009年の総会と国際赤十字・赤新月運動代表者会議(COD)に提示することだった。1.2 2008~2009年の協議・改訂プロセス協議・改訂プロセスは、中核作業部会が連盟の事務局やICRCの代表者らとともに実施した。作業部会は、異なる地理的地域に属する赤十字・赤新月社の代表6~8人で構成する拡大部会、および関連技術(監査や財務など)の専門家で構成する専門部会と密接に連携しながら作業した。P&Rの新たな草案を作成するため、2008~2009年の評価・協議プロセスでは、あらゆる面からP&Rの改訂を模索した。●P&Rの利用状況の調査とおもな改訂分野各国赤十字・赤新月社のP&R利用・普及状況やおもな改訂分野に関する意見(復興、リスク削減、外部組織との関係などを加えるべきか、また文書の適用範囲を紛争にまで拡大すべきか)をより良く把握するため、各社やIFRC、ICRCと調査のための協議を実施した。さらに他のテーマ別地域会議(IDRLワークショップや災害管理地域会議など)の一環としても協議を実施し、その中で調査のための質問を行った。協議の結果を要約すると、「復興」に関しては、これを加える明確な意図は見られないとの結論だった。一方では少なくとも早期の復興を望み、救援から早期復興への移行についての項目を加える声があった。しかし他方では、現在のP&Rの長所は災害対応の重視であり、そのための特殊な調整メカニズムが必要との見方があった。また「リスク削減」については、リスク削減は現代の災害管理に不可欠であることからP&Rで大きく取り上げるべきだとの一部の意見が目立った。しかしながら、リスク削減はきわめて広範囲の活動であり、P&Rに加えることによって焦点があいまいになるとの意見が大多数を占めた。「適用範囲の紛争への拡大」については、最初は支持されたが、詳しい分析の結果、(ICRCによって)削除された。最後に、190人道研究ジャーナルVol. 2, 2013