「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 193/276

電子ブックを開く

このページは 「人道研究ジャーナル」Vol.2 の電子ブックに掲載されている193ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013P&Rでは「赤十字運動と外部パートナー(特に政府機関や軍、UN)との関係」をこれまでより明確化する必要があることが、これらの協議によって明らかになった。●法的評価とリスク評価作業部会は、P&Rの改訂に関するリスクとともに、この文書が国際会議で留意または承認されることなく、総会と代表者会議でのみ承認された場合の法的意味も評価した。その結果、リスクはほとんど認められなかった。特にP&Rが国際会議文書としての「地位」を失うこと、また改訂箇所が多すぎることで文書が「非実用的」となることに関するリスクはほとんどなかった。この協議によって、P&Rは、各国赤十字・赤新月社の政府に対する重要な政策提言ツールであることが明らかになった。そのため、何らかの修正を行う場合は、国際会議の場で報告し、採択または最低でも留意されることを視野に入れなければならないと考えられる。●P&Rとおもなポリシー/ガイダンス文書の適用範囲の比較作業部会は、P&Rと他の連携・協力のための文書、特にセビリア合意とその補足条項、良好なパートナーシップのための規範(Code for Good Partnership)、IDRLガイドライン、災害管理ポリシー草案、災害救援のための行動規範(Code of Conduct for Disaster Relief)などとの関係を分析した。その結果、全体的にP&Rと他の文書は互いに幅広く補完し合っており、対象読者が異なることも多い(詳細な分析が入手可能)。拡大部会は、協議と追加的な分析により収集したフィードバックを活用しながら主要な改訂箇所について話し合い、改訂版P&Rの合意草案を作成した。1.3協議継続の決定2009年9月、作業部会は報告書(およびP&R文書の第2次草案)を理事会に提出した。理事会はこれを受け、改訂版P&Rを総会に提出しないことを決め、事務総長に各国赤十字・赤新月社との協議を続けるよう要請した。理事会メンバーが挙げた重要な懸念事項としては、提案された変更には「矛盾があるという印象を受ける」というものがあった。改訂版P&Rには、用語の明確な定義や記述の一貫性がなく、災害管理ポリシーやおもな「赤十字・赤新月運動の中核文書」(スフィア・スタンダードや行動規範、セビリア合意など)が適切に反映されていなかった。また改訂版P&Rは、被災国の赤十字・赤新月社が直接国際アピールを発することを希望するという状況を考慮していないと批判された。さらに未使用資金の拠出に関するドナー社と事務局との間の意思決定について、不透明さがあった。他にも改訂版P&Rは、赤十字・赤新月運動の各組織のおもな役割について、また各役割や責任について混乱があると考えられた。改訂版P&Rは、連盟の文書かそれとも赤十字・赤新月運動の文書かは、理事会メンバーもはっきりと認識していなかった。協議プロセスでは18社からフィードバックがあったが、これも統一見解を見出すには不十分とみなされた。理事会決議(09/02/37)は、単に改訂版P&Rについて事務総長に各国赤十字・赤新月社との協議を続けるように要請しているが、議事録からは、2011年の総会に改訂版P&Rを提出することを視野に入れたP&R文書の改訂と2010年理事会への再提出の意図がうかがえる。2010年、災害・危機管理審議会(DCMAB)のメンバーは、「2020年に向けての戦略」の戦略目標1を実施するための総合的なポリシーの枠組みを作成するよう理事会に助言・支援する上で、P&Rの改訂を優先分野とみなした。2011年4月、DCMABは、改訂版P&R文書を2011年の総会や代表者会議に提出せず、その代わりに2013年の理事会に提出することで関連作業(緊急時の赤十字・赤新月運動と外部組織との関係など)を進め、各国赤十字・赤新月社とも十分に協議できる時間を確保するよう提言した。新しい協議プロセス案2.1この協議プロセスの目的この協議プロセス案の目的は、赤十字・赤新月運動を構成する各組織(各国赤十字・赤新月社、ICRC、連盟)がP&Rの建設的な協議に参加し、その結果、改訂版P&Rが2013年の理事会で承認されるようにすることで人道研究ジャーナルVol. 2, 2013191