「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013はじめに2009年、連盟の「人道外交(HD)ポリシー」が理事会と総会で採択された。このポリシーと説明文書は、「HDとは何か、なぜ大切か」を明確にし、すべての赤十字・赤新月社と事務局がHDを実践する際に指標とすべき基本を示すものである。「2020年に向けての戦略」の採択(および2009年の総会)は、連盟の戦略目標達成に向けたHDの基本的重要性を明らかにした。HDポリシーと「2020年に向けての戦略」双方が採択されたことは、メンバー各社がより調和してHDを実践するという新たな組織的取り組みを表すものである。多くの赤十字・赤新月社が、この組織的方向性に刺激を受け、HDを自らの活動の前面に打ち出し、国内事情に応じた実践をますます重視するようになってきている。各社がこれまでになく多くのHD重点項目を掲げていることが、赤十字・赤新月運動全体でHD活動が広まっていることの証拠である。また、各社が独自のHD計画・ポリシーを採用する動きも広まっている。これらのポリシーが2年前にHDポリシーと「2020年に向けての戦略」の掲げた青写真に基づいて作成されていることは、特に心強い。これらの重要なイニシアティブが採択されて2年経過した現在の課題は、組織的取り組みを具体的活動に移すために必要な支援を各国赤十字・赤新月社が受けているかどうか確認することである。これらの支援のありかたについては、本文書で概要を示す。各社にとって最も重要なHDツールを定めるとともに、各社と事務局とのより効率的な連絡や、世界中の政策決定者やオピニオンリーダーに対する連盟全体の影響力の行使などを可能にする連盟全体規模のネットワークを特定する。本文書では、HDの実践についての連盟のビジョン(HDポリシーと「2020年に向けての戦略」で具体的に述べられる)を実践するための戦略的枠組みを提示し、次の3つの目標を説明する。目標1:国内レベルのHDの効果を高めるこの戦略的枠組みは、「各国赤十字・赤新月社は、何よりもまず、政策決定者やオピニオンリーダーが弱者の利害に立って行動するよう促す優れた能力を備えている」との理解に基づいて作成されている。政府当局の補佐役として国または地方自治体の政策決定の場に参加するのは、各社である。本文書は、各社が政府との距離を近づけることでメリットを最大化するための具体的なツールと活動の概要を示す。適切な環境では、公的領域におけるHDは、政府の介入する私的領域におけるHDと同様の重要性を持つ。実際に、一般市民(若者を含む)との交流は、政策や法律の改正に必要な第一歩となる場合が多い。そこでこの目標1は、従来型および最新のメディアや技術を利用して、各社と市民の相互関係を強化することである。公的・私的領域の双方で国内レベルのHDの効果を高めることは、この戦略的枠組みにとって第一の大きな目標である。目標2:赤十字・赤新月のHDネットワークを強化し、より包括的な政策提言を実施する第2の目標は、各国赤十字・赤新月社が相互のネットワークを強化することである。HDポリシーが採択された理由のひとつは、各社の取り組みと資源を組み合わせることによって、より効果的な成果が得られる可能性があるという認識があったことである。この戦略的枠組みは、拡大しつつあるHD実践ネットワークを連結し、最終的に我々の集団的意見をより効果的に主張するための数々の方法を示すものである。目標3:世界規模のリーダーシップを発揮するこの戦略的枠組みは、弱者に関わる重要な決定が世界レベルでも行われることを認識している。様々な国際協定や国際機関の決議、政府間組織による資金援助、地域組織の人道活動に対する取り組みはすべて、世界中の最弱者に重要な影響を与えうる世界レベル、または多国間の成果や決定の例である。そのためこの戦略的枠組みは、連盟事務局が各国赤十字・赤新月社と連携して政策決定者やオピニオンリーダーに影響力を発揮し、世界のリーダーシップに携わる機会についても取り上げている。これらの機会を最大限に活用することが、この戦略的枠組みの第3の目標である。パートナーシップに対するより戦略的な取り組みや、集団としての意見を主張するための国際的なイベントやフォーラムによって、実効性のある世界的リー人道研究ジャーナルVol. 2, 2013197