「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013基地に近いほど高まる。信じがたいことに、2011年4月12日にモガディシオのメディナ病院に着弾した12発の砲弾は、医療機関であることを明確に示していた同病院を狙ったものではなく、付近で行われていたハイレベルの軍事イベントに出席していたソマリア暫定連邦政府の高官を標的としていた。奇跡的にも11発は不発に終わったが、1発は2名の警備員を負傷させ、患者やスタッフを恐怖に陥れた。実際何発かは軍事目標に達し、政府軍本部で少なくとも3名が死亡した。医療施設に対して行われる暴力の中でおそらくもっとも一般的なものは、医薬品や医療器具の略奪である。これが第四のカテゴリーである。時に、動機は施設に入ることを恐れる負傷した戦闘員のために医療物資を得ようとするものであるが、純粋に犯罪的な動機によるものがより一般的である。2003年、バグダッドでは、極めて大規模な医療施設における略奪および設備と医療物資の損害を目の当たりにし、バグダッドの医療体系全体を事実上破壊した。病院は閉鎖せざるを得ず、負傷者とひん死の状態にある患者は取り残された。医療施設の悪用暴力には、運営中の医療施設への爆撃、砲撃、略奪、強制的な侵入、発砲、包囲、あるいは他の強制的な介入(たとえば電気や水を奪うこと)が含まれる。医療施設とは、病院、研究所、診療所、応急手当を行う拠点、輸血センターやこれら施設が備蓄する医薬品を含む。医療施設は負傷者と病人の治療に専念する限り保護される地位を維持し、軍事目的の達成を早めるために用いられてはならない。残念なことに、医療施設の中立性が武器の貯蔵や攻撃の拠点となることで損なわれることが多い。たとえばパレスチナ内部での戦いにおいて、病院は隠れ蓑として用いられ、患者や病院のスタッフは交戦に巻き込まれる多大な危険にさらされた。リビアからの報告によれば、Ajdabyah病院は狙撃兵が潜む格好の場所として用いられた。医療施設内に医療目的以外で武装した戦闘員が存在することは、病院の保護された地位を損なう。2009年8月に、武装した反政府勢力の一団が、負傷した司令官の治療を求めて、アフガニスタンのPaktika地方の診療所に入った。武装ヘリコプターが診療所に放ったロケット弾が1人を残して全員を殺害し、男性用病棟を焼き尽くすまで病院の外にいる兵士との銃撃戦は続いた。法の規定?医療施設はいつでも尊重または保護され、攻撃対象となってはならない。?医療部隊であることを特定する赤十字、赤新月、赤いクリスタルなどの保護標章は、あらゆる状況において尊重されなければならない。?小火器は、自衛または傷病者の保護の目的で医療施設内においてその存在を認められる(たとえば武装強盗に対抗するためなど)。他のすべての武器は、施設の中立の地位を損なう。?医療施設が「敵に有害な行為」を行うために用いられた場合には、保護の資格を失う。?「敵に有害な行為」には、健康な戦闘員の保護、武器や弾薬の貯蔵、軍事監視拠点、あるいは軍事行動の盾としての医療施設の使用が含まれる。傷病者への暴力暴力とは、患者や医療にアクセスしようとする者を殺害し、怪我を負わせ、いやがらせをし、脅す行為、迅速に治療を受けるためのアクセスを阻害しあるいは干渉する行為、援助の供給の意図的な不履行あるいは否定、治療を受けるためのへのアクセスや治療の質における差別、医療行為の妨害を含む。傷病者とは、軍人や文民であろうと、医療支援を必要とし、またあらゆる敵対行為を行っていないすべての人を含む。ここには妊婦や新生児、虚弱者も含まれる。18人道研究ジャーナルVol. 2, 2013