「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 20134.緊急時のHD重点分野の特定による世界的位置づけ1.災害の発生回数の増加と規模の拡大が人道に与える影響に対処する。2.医療サービスを受けにくい人々に目を向ける。3.非暴力と平和の文化を推進する。HDの望ましい成果背景と環境HDポリシーと説明文書、および「2020年に向けての戦略」2009年4月、HDポリシーとその説明文書が理事会で採択された。その後、同年の総会でも採択されたこれらの文書は、各国赤十字・赤新月社とIFRC理事会がHDに関わる際の基礎的な文書であり、重要な参考書ともなった。2009年11月、総会で「2020年に向けての戦略」が採択され、IFRCの戦略目標達成のために重要な3つの推進活動のひとつにHDが挙げられた。HDは常に各国赤十字・赤新月社で実行されているが、「HDとは何か」を明確に示し、HDの適用条件を設定する指標が必要とされてきた。HDとは、「政策決定者やオピニオンリーダーが、常に弱者の利害に立って行動し、基本的な人道原則を十分尊重するよう促す」プロセスであるとHDポリシーの中で定義されている。ここでのキーワードは、「促す(persuading)」であり、そのおもな意味は、各国赤十字・赤新月社と事務局が、根拠と解決策に基づいたメッセージを通して、より頻繁に政策決定者やオピニオンリーダーに働きかける必要があるということである。包括的用語として、HDは、各国赤十字・赤新月社とその政府機関の間で交わされるいわゆる「静かなる」、つまり機密性の高い外交手段であり、また、各社が国際赤十字・赤新月運動の基本原則に沿って適切に利用する公共性の高い政策提言の手段でもある。HDポリシーは、弱者のためのHDの追求が選択肢ではなく、責務であることを明確に示している。HDポリシーは、これを我々の「追求すべき責務」と表現した。これは赤十字・赤新月が世界の政策決定の場に(各社は政府の補佐役として、またIFRCは国連総会の恒久的オブザーバーとして)参加する特権を持つことからも明らかである。HDポリシーでは、「追求すべき責務」を行使する環境を明らかにしている。それによると、各国赤十字・赤新月社は、世界中の多様かつ複雑な環境で活動しており、それぞれの社がおもな対象読者に対して行使する手段もそれに応じて異なる。これを念頭に、本方針は、すべての赤十字・赤新月社がHDを実践する上で守らなければならない次のような不可欠の概念をリストアップする。?環境の尊重:各国赤十字・赤新月社と事務局は、自らが活動する個別の環境を理解し、最適のHDの取り組み方法を計画しなければならない。大半の環境では、いわゆる「静かなる」、つまり機密性の高い外交手段の行使が必要となろう。そのほかでは、公共性の高い政策提言が適切な環境もあるだろう。?根拠に基づいていることの確認:HDメッセージの信頼性の核心は、取るべき立場や提案された解決策を支える綿密な調査をもとにした事実や数値、その他の根拠である。?パートナーシップの構築:赤十字・赤新月運動の外部パートナーと適切な時期に連携することにより、集団としての資源を最大限に活用し、人道的自由を拡大し、我々のメッセージの影響力を増し、知識の共有を促進できる。研究、分析、協議このHDに関する戦略的枠組みは、幅広い協議プロセスの集大成である。この戦略的枠組みの重点分野(後述)は、できる限り幅広い赤十字・赤新月の利害を代表するものでなければならない。そのため我々は、次のようなメンバー各社のさまざまなグループの意見を可能な限り幅広く聴取することに努めた。人道研究ジャーナルVol. 2, 2013199