「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 204/276

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013今後は赤十字・赤新月の奉仕活動や資源、ブランドが強化されることを期待し、民間企業やメディア・ネットワーク、学術機関、市民社会組織との連携をより強化するための可能性を模索する。コミュニティの視点の活用と受益者の参加の促進赤十字・赤新月社にはコミュニティの視点を活用するという独自の特性があり、我々の追求すべき責務は、この特性をもとに推進される。そのためHDは、コミュニティや受益者との効果的なパートナーシップを利用し、弱者の声をより良く代弁するとともに、政策決定者やオピニオンリーダーに影響力を発揮する上での信頼性を高めなければならない。情報技術や通信技術の発達によって、また拡大するソーシャル・ネットワークを利用して、ますます多くの人々がこれまで排他的であった外交の領域に触れるようになった。従って世界中の多くの人々の意見や経験を、自らの生活に影響を及ぼすより良い政策決定のために活用できるようになった。また我々の人道外交は、特にボランティアの参加をますます促進するプラットフォームを構築することにより、社会的運動(SocialMobilization)の推進力とならなければならない。HDツール1.赤十字・赤新月独自の特性の活用赤十字・赤新月運動には、HD活動を成功に導くうえで特に重要な3つの独自の特性(分野横断的テーマ)がある。これらは赤十字・赤新月のHDへの取り組みを強化し、独自性を与えるものである。この戦略的枠組みは、この3つの特性の重要性がHD活動の進化に伴い、ますます高まることを示している。そこで次に、HD活動におけるこの分野横断的テーマそれぞれの重要性について説明する。A.国際赤十字・赤新月運動の基本原則基本原則は、赤十字・赤新月のアイデンティティと理念、任務の中核となるものであり、各国赤十字・赤新月社と連盟理事会が特定の問題でHDへの取り組み方法を決定する際に不可欠の基礎的な文書である。赤十字・赤新月運動の「中立、独立、公平」の原則は、我々の信頼性を高め、特定の環境では他の組織がなし得ない受益者へのサービス提供を可能にする。連盟のHDポリシーは、HD活動の際に損なわれかねないこの基本原則(特に「中立」の原則に対するリスク)の重要性を見失っていない。同様に、基本原則で最も重要な「人道」に対する赤十字・赤新月運動の取り組みは、この戦略的枠組みの核心である。HDポリシーに明記されている通り、「中立」は運動の人道的自由を確保するために重要な要素である。これは人道的価値を守るための手段であって、これをもってすぐに外交的撤退の論拠とすべきではない。基本原則は、単独で解釈できるものではない。この戦略的枠組みは、各国赤十字・赤新月社や連盟事務局に対し、HD活動は基本原則に沿って実施しなければならないこと、またお互いの関係に基づいて解釈しなければならないことを説明している。基本原則に対するジャン・ピクテ(Jean Pictet)氏の解説は、各社がHD活動における基本原則を解釈するための最適の手引書とされている。ピクテ氏の解説は、他のHD活動の「中立」に関する解説とともに、HDポリシーの説明文書に忠実に反映されている。事務局は、訓練やツールの普及、HDネットワークを介したリアルタイムのアドバイスによって、時として解決困難なこれらの疑問に関し、今後も各国赤十字・赤新月社を支援する。B.ボランティアボランティアは、コミュニティにおける赤十字・赤新月の活動や理念、影響力の中心となる存在である。そのためHDでは、特にすべての政府に対してボランティア活動を重要な経済・社会指標とするよう促すとともに、ボランティアを保護・奨励することでボランティアの経済的・社会的価値への認識を高めなければならない。赤十字・赤新月は、世界中に1,300万人のボランティアを抱えている。ボランティアの強みは、彼らがそれ202人道研究ジャーナルVol. 2, 2013