「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 205/276

電子ブックを開く

このページは 「人道研究ジャーナル」Vol.2 の電子ブックに掲載されている205ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013ぞれのコミュニティの出身であり、従って地域のニーズに直結した根拠に基づくHD活動を実施できることである。これは、「医療サービスを受けにくい人々に目を向ける」といった人道上の未対応ニーズに関し、補助的な役割を通して各国政府と交渉する場合に重要な要因となる。そのため各国赤十字・赤新月社のボランティア基盤は、我々のHD活動にとって極めて重要である。C.赤十字・赤新月社の補助的な役割各国赤十字・赤新月社は、人道分野の政府機関に対し補助的な役割を果たすが、これによってメンバー各社は、人道問題で政府に関与する独自のチャンスを得る。2007年の国際会議の決議2は、「補助的な役割」を「相互の責任と利益を伴う固有かつ独特のパートナーシップであり……この中で政府機関と各社は、当該社が補佐役または代理を務める公共の人道サービスの分野について合意する」と定義した。この2007年の国際会議の決議2は、アンリー・デュナンが1862年に初めて示した「補助的な役割」の概念に、さらに詳しい意味を与えた。これ以来、「補助的な役割」は、ジュネーブ諸条約や国連決議を通して、また各国の法規や命令によって各国政府に採択された。それにもかかわらず、この問題に関しては各国政府とともになすべき作業がまだ多く残っている。「補助的な役割」の価値は、メンバー各社にまだ完全に理解・活用されておらず、同様に多くの政府も「補助的な役割」の現実的な利用をためらっている。とは言うものの、我々の最新のHD調査では、「補助的な役割」をメンバー全体が人道目標の推進に利用しており、これをHD活動にとって2番目に重要な優先事項と考えているとの良好な結果が表れた。この役割は、政府との有意義な対話のためのプラットフォームとして利用される可能性があり、将来、各国赤十字・赤新月社が政策決定者により大きな影響力を行使するための能力の中核となるだろう。しかし補助的な役割には「相互の責任」が伴うため、補佐役として意味ある関係を築くには、各国赤十字・赤新月社が第一に信頼できる組織としてそれぞれの政府に認められなければならない。政府機関との信頼関係を築くには、各社が組織としての事業遂行能力を示す必要がある。HDについては、各国赤十字・赤新月社の政策決定の場への参加は、単に権利によって獲得されるものではなく、むしろ根拠と解決策に基づいた分析をそれぞれの政府に示すプロセスによって得られるものである。結局、そうした信頼関係を築くことで、受益者のニーズについて政府に対して率直に意見することや、社会の最弱者に影響する法規を形成することができるようになる。政府と緊密な関係を構築するとともに、その(補助的な役割の本質である)独立性も維持しなければならない。それによって政策決定に影響を与え、政策提言の立法化に関与し、政府の最高レベルでの人道に関する議論に貢献するチャンスが得られる。この戦略的枠組みは、3つの重点分野を根拠とし、補助的な役割の可能性を十分発揮する方法を示す。各国赤十字・赤新月社がその特権的関係を活用し、「追求すべき責務」を遂行するために、我々はどのような方法で支援できるかを次に解説する。?事務局が世界的なレベルで扱っている課題を、各国赤十字・赤新月社がそれぞれの政府との交渉の開始点として利用できるようにする。事務局がHDの視点から選択した各重点分野は、いくつかの理由により選ばれたものだが、特に各社の利害を大きく反映していること、各社がその政府との関係構築の基盤として利用できることによる。?国際会議のプロセス以外には関与する場のない各国赤十字・赤新月社同士が、お互いの理解を深められるようにする。国際会議は、国内法における補助的な役割について各国政府が理解を深め、この概念を具体化できるよう支援する。?各国赤十字・赤新月社の補助的な役割について、また各社のおもな活動や使命について、世界中の国会議員により詳しい知識を提供し、理解を促す。事務局は、列国議会同盟との協議によって、各社と共同で『国会議員のための国際赤十字・赤新月運動ガイド(Guide for Parliamentarians to the InternationalRed Cross and Red Crescent Movement)』を配布する予定である。このガイドは、オーストラリア赤十字社が作成した優れたガイドをもとにしたもので、各地の状況に適応するよう作られている。一方、事務局はICRCと共同で『国際人道法の尊重?国会議員向けハンドブック(Promoting respect for人道研究ジャーナルVol. 2, 2013203