「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013連盟事務局のHD部門は、法務部門やゾーンオフィス、学習・知識共有ネットワークと共同であらゆる地域におけるHDの実践を支援し、これを可能とするためのさまざまな訓練の機会やツールの提供を手掛けている。その一部を次に紹介する。?法律に関する提言などを政策決定者や意思決定者、オピニオンリーダーに訴えるためのマニュアル? HDに関する単位取得可能な大学講座(Diplo Foundationが実施)?コミュニケーション訓練コース「インパクトのあるコミュニケーション(Communicating for Impact)」これら3つのイニシアティブは、これまでHDに関与したことのない各国赤十字・赤新月社を支援するという事務局側の意欲を表すものである。これらのツールは、メンバー各社の幅広い多様性に合わせて作られている。しかし我々は、各社が実際に活動する地域の事情に合わせた方法で訓練を実施しなければならないことを認識している。そのため各ゾーンや各地域、各国に派遣したスタッフ、および各社と共同で、我々が提供する訓練がこれらの要件を満たしているか確認する予定である。4.緊急時のHD緊急時のHDは、組織間の調整を促進・向上させ、活動上の制約を除去するための政策提言を行い、人道的な自由や手段を創造・保護・拡大し、被災者のために提言を行い、資源の動員を支援し、赤十字・赤新月の対応が確実にメディアで報道されるよう働きかけることができる。この戦略的枠組みは、緊急時のHD資源のより効果的な利用をこれまでよりも重視している。近年の緊急事態では、緊急対応におけるより調整された活動へのニーズが注目されるとともに、組織運営とHDの間の伝統的な溝が埋まりつつあることが示された。事務局は、緊急時のHD活動統合のための評価指標(ToR)案をまもなく完成させ、メンバー各社との協議に使用する予定である。重点分野の特定による世界的位置づけ「2020年に向けての戦略」は、多様なニーズが高まり、競争が激化し、緊急事態が複雑化し、資源が減少していくこの変化の激しい世界でIFRCの果たすべき役割について、その範囲と重点分野をすでに示している。この戦略的枠組みは、IFRCの効果的なHD活動を実現するため、その重点分野をさらに改良している。政策決定者や一般市民の注目を集める強力な主張を発し、競争力を高めるには、明快なHDの目的を確立する必要がある。そのため、HDに対する集中的なアプローチを通してのみ、我々はより大きな影響力を確立し、弱者のニーズのためにより多くの資源を調達し、世界の「思想的指導者」としての赤十字・赤新月をより良くアピールすることができる。要約すると、赤十字・赤新月が過度に多くの課題に対応することでその活動効果が薄れるよりも、世界の重要課題を選択し、これに集中する方が、最大限の影響力を発揮できると考えられる。連盟は、このような世界的課題への集中によって、各国赤十字・赤新月社が共通の関心を示す多くの重要課題(すべてである必要はない)において、各国の事情に合った実現可能かつ前向きな利益が得られると期待する。「2020年に向けての戦略」の戦略目標に沿ってHD調査をはじめとする幅広い協議を実施した結果、次のHDの重点分野を特定することができた。(ⅰ)災害の発生回数の増加と規模の拡大が人道に与える影響に対処する。(ⅱ)医療サービスを受けにくい人々に目を向ける。(ⅲ)非暴力と平和の文化を推進する。これらの重点分野と各分野のサブテーマや活動について、次に短く説明する。(ⅰ)災害の発生回数の増加と規模の拡大が人道に与える影響に対処する(戦略目標1に準拠)自然災害は現在、世界的に人間の安全保障と開発への最大の脅威のひとつであることは疑問の余地がない。過去10年間の自然災害による被災者は、24億人以上にのぼる。これは地球人口の約3分の1に当たる。これ人道研究ジャーナルVol. 2, 2013205