「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013添付文書9AG/2.8/3付属文書GB/11.1/1ポリシー「国の血液事業の安全かつ持続的な促進」はじめに:血液の安全は、安全な輸血と保健システムにとって欠くことのできない基盤である。全ての国の人々は、自分たちに供給される血液や血液製剤が、そのコミュニティや保健システムを支える安全かつ持続可能な方法で採集、製造、提供されることを期待する権利を有する。連盟は、「健康保障は、世界や国や個人の開発において、基本的で欠くことのできない必須条件である」1ということを認識し、自発的無償献血(VNRBD)の推進や血液と血液製剤の安全な提供を提唱することにより、世界的な健康保障の進展を支えている2。世界保健機関(WHO)が、血液の安全かつ十分な供給を確保することは政府の責任であるということを認めている一方で3、多くの国の赤十字・赤新月社は、政府の補助機関として、安全で持続可能な血液プログラムの推進において重要な役割を果たしている。各国赤十字・赤新月社の活動は、国の血液事業の提供から、自発的献血者の組織的な募集、さらには献血の推進やVNRBDのアドボカシー(例えば世界献血者デーへの毎年の参加など)まで、多岐にわたる。ポリシーの範囲本ポリシーは、安全で持続可能な血液事業を通じた健康保障の推進における、連盟と各国赤十字・赤新月社の立場を明らかにしている。血液事業の重要性持続可能で高品質な血液事業は、あらゆる社会の保健において重要な役割を果たしており、災害対策の観点から見て、高品質な血液事業の存在は必要不可欠である。災害発生時には血液の可用性が主要な関心事になり得るが、その安全性も常にあらゆる緊急・災害対応において最優先される関心事である。手術を受ける患者の補助、貧血やマラリアなどの病気の治療、化学療法を受けている患者のケア、合併症のある女性に対する出産時のサポート(分娩後出血)や、抗レトロウイルス(ARV)治療を受けている患者のサポートなど、さまざまな救命用途で血液が使用される。安全な血液が入手できないことにより、失血死や、HIV/エイズ、B型・C型肝炎、梅毒などの生命にかかわる感染症の伝染といった深刻な健康上の結果がもたらされる可能性がある。緊急事態に際して迅速な対応を講じ、災害後に輸血事業を再建するための準備計画が必要である。安全な血液の可用性は、国連のミレニアム開発目標の以下の3つの目標に直接貢献する。目標4.幼児死亡率の引き下げ目標5.妊産婦の健康状態の改善目標6. HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止自発的無償献血(VNRBD)に基づいた安全な血液と血液成分の十分な供給、およびその供給の安全保障は、血液の不足を予防し患者人口の輸血ニーズを満たすための重要な国家目標であるということが認識されている。41 2005年11月にソウルで開催された第15回国際赤十字・赤新月社連盟総会で採択された保健ポリシー2 IFRC「2020年に向けての戦略」p.153 WHO「血液の安全、国の血液プログラムのための覚書(Blood Safety, Aide-Memoire for National Blood programme)」、2002年。4世界保健総会決議63.12人道研究ジャーナルVol. 2, 2013209