「人道研究ジャーナル」Vol.2

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The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013VNRBDは、献血を必要とする全ての患者のニーズを満たす安全で持続可能な血液供給を確保するために欠かせない要素である。1975年の世界保健総会(WHA)決議が加盟国に対し「自発的無償献血に基づいた国の血液事業の発展を促進すること」を呼びかけた時5、VNRBDは血液事業の基本原則として正式に明記された。患者はその臨床的必要性に基づいて安全な輸血を受ける公平な権利を有するべきであり、献血者と患者の安全は最優先事項とみなされなければならない。連盟と各国赤十字・赤新月社は、国民が国の血液事業の安全性と完全性に信頼を持てるよう、血液と血液成分の公平性、利用可能性、品質および安全性を推進する。輸血によりもたらされる恩恵は広く認識されているが、輸血プロセスには、HIVなどの輸血感染症への偶発的暴露を含むいくつかのリスクが伴う。血液供給の安全性を確保するために、血液事業においては、献血者の適切なスクリーニングや品質管理プロセスをしっかりと整備するとともに、血液供給における新たな脅威に対し常に警戒を続けることが必要である。適切に機能する赤十字・赤新月社の血液プログラムの特徴十分かつ安全な血液供給の確保は政府の責任であるが、多くの赤十字・赤新月社は、この目標を達成するための各国政府への支援において重要な役割を果たしている。各国赤十字・赤新月社は、以下にあげる3つのレベルにおいて血液関連活動に関与することができる。A:血液事業全般(採血、検査、処理、配布)B:血液事業への献血者の組織的募集C:献血の推進とアドボカシーこれらの各レベルを下の図に示す。図1:血液関連活動における赤十字・赤新月社の役割血液事業の提供、優れた献血者サービスによる献血者の再動機付け血液事業全般(採血を含む)レベルA戦略的キャンペーン、血液センターの利便性募集レベルB広範囲にわたるコミュニティ教育・意識向上プログラムの影響動機付けとアドボカシーレベルC各国赤十字・赤新月社による血液事業への各レベルでの関与は、能力およびリスク管理に関するさまざまな必要条件により特徴づけられる。レベルAは最も多くの資源を必要とするとともに最も高いリスクをともなうが、各国赤十字・赤新月社による適切に運営された血液事業は、その拠点となるコミュニティの保健と福祉に大きく貢献することができる。一方、全ての各国赤十字・赤新月社が、VNRBDのアドボカシーと推進を通じて安全で持続可能な血液事業の発展に貢献することができる。各レベルの特徴の詳細については、「赤十字・赤新月社における血液事業のコーポレートガバナンスとリス5世界保健総会決議28.72。この原則は、世界保健総会により2005年(WHA58.13)と2010年(WHA28.72)に再度主張された。210人道研究ジャーナルVol. 2, 20135世界保健総会決議28.72。この原則は、世界保健総会により2005年(WHA58.13)と2010年(WHA28.72)に再度主張された。