「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 20132004年から2009年の間、赤十字運動の57名のボランティアが職務中に死傷した。このような事件は武力紛争に限られない:2010年に、メキシコの医療ケアワーカーが暴力の停止を求めてストライキを行った。メキシコの多くの場所で、医療従事者は、さらなる暴力に巻き込まれることを恐れて、銃で撃たれたものの犯罪組織への所属が疑われる負傷者を治療することにますます消極的になっている。時に、医療従事者は、身元や過去を問わず治療を必要とするすべての者を救い、専門的な責任を遂行することによって逮捕される。スリランカ北部で活動していた3名の医師は、2009年半ばに身柄を拘束された;イエメン赤新月社のボランティアは、2011年初頭の社会不安の際、抗議活動をする者を支持しているとの嫌疑をかけられ身柄を拘束された;バーレーンでは、抗議活動をする者を治療した47人の医師と看護師が、抗議者への取り締まりに引き続いて行われた医療従事者の一斉逮捕で拘束され、様々な罪状によって軍事裁判所で訴追された。平和な時でさえも、多くの国で医療従事者は、提供する医療の質に関して患者や家族から容認しがたい脅迫を受ける。2009年にレバノンにある6つの病院を対象にした調査によれば、過去12ヶ月の間、緊急処置室のスタッフの80%が言葉による暴力を受け、25%が実際に暴行された。そうした行為をした者の3分の2以上が患者の家族や友人だった。この傾向は戦時下では悪化する:ソマリアやイラクでは、緊急処置室や手術室に銃を持った兵士が、友人や家族、仲間を直ちに治療することを要求して侵入した。「間違いなく、ミサイルは我々を狙った。我々を殺すつもりだったのか、近づかないように警告するものだったのかは分からないが、確かに我々に向けられたものだった」。パレスチナ赤新月社の救急車運転手、Khaled Abu Saada氏法の規定?軍人にせよ文民にせよ、医療従事者は攻撃されたり危害を加えられてはならない。?医療従事者は、医療に特化した任務の実施を妨害されてはならない。?紛争当事者は医療倫理に見合った活動を行う医療従事者を困らせたり、処罰してはならない。また医療倫理に反する活動の実施を強制してはならず、医療倫理によって必要とされる行為を妨げてはならない。?医療従事者は、医療理由以外でいずれもの個人が優先されるよう要請されてはならない。医療従事者は、医療倫理に従い、どの患者が優先されるべきかを決定する。?医療従事者に対する保護は、人道上の機能以外で敵に害を与える行動をスタッフがとった際に終了する。■コロンビアの医療従事者のためのより安全なアクセスコロンビア南東部の過疎地サンタクルーズ村は、紛争で残された地雷と爆発物が散乱している。村の唯一の医療スタッフは、医療ケアセンターから各家庭を訪問したり、予防接種のためクーラーボックス持参で巡回を行うたびに命を賭ける。「ここでは誰もがリスクを承知で自分の責任で歩きます」。彼女は不安を隠して笑顔で答えた。彼女は、誤った場所に足を踏み入れた場合の、自らへのまたコミュニティ全体への影響を十分に理解している。彼女やコロンビア全土で彼女と同じ状況の人々の安全を改善するために、ICRCの武器汚染担当チームは、車や徒歩で爆発物の上を通過することを避ける技術を医療従事者に訓練する。彼らは命を危機にさらす物体をどのように用心し、また爆発した場合や危険区域に踏み込んだ場合にどうすべきかを学ぶ。ICRCはすべての紛争当事者に対しても、これら武器の文民への影響を説く。22人道研究ジャーナルVol. 2, 2013