「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 240/276

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013決議1核兵器廃絶への取り組み代表者会議は、核兵器がもつ破壊力、核兵器が人類にもたらす筆舌に尽くし難い苦痛、空間的にも時間的にも制御し難い核兵器の影響、環境や将来の世代に核兵器がもたらす脅威、ならびにその脅威が増大していく危険性を深く憂慮し、また、何万もの核弾頭が保有され続けている現状、核兵器の拡散、ならびに核兵器が再び使用される危険性が常に存在することを憂慮し、核兵器の使用が世界の広い範囲にわたる人道支援活動および食糧生産に重大な影響をもたらすことを懸念し、核兵器の存在が、戦争において人間が与え、許容しうる苦痛の範囲に深刻な問いを投げかけるものであると確信し、一連の新たな外交努力の進展、特に2009年の核不拡散・核軍縮に関する国連安保理首脳会合と、2010年の核拡散防止条約再検討会議、およびアメリカ合衆国、ロシア連邦で締結された、戦略核兵器のさらなる削減および制限にかかる取り決めを歓迎し、核不拡散・軍縮の分野での具体的活動を通じて、「核兵器のない世界」を創出していくとする、上記の各会合の場でなされた各国首脳の公約を歓迎し、国際人道法の原則および規則が核兵器に対しても適用されること、そして核兵器の脅威あるいは使用が国際人道法の原則および規則に一般的に反するとした国際司法裁判所の1996年の勧告的意見を想起し、原爆被爆者の証言、広島・長崎の被爆者支援で日本赤十字社とICRCが得た経験、ならびに被爆者の診療を通じて日本赤十字社の原爆病院が得た知見に注目し、1948年、1952年、1957年、1965年、1969年、1977年、1981年の赤十字・赤新月国際会議において採択された大量破壊兵器および核兵器の廃絶に関する一連の決議、2009年の代表者会議、ならびに2010年4月ジュネーブ外交団に対する赤十字国際委員会委員長の核兵器関連声明および2010年11月広島でのノーベル賞受賞者に対する国際赤十字・赤新月社連盟会長の核兵器関連声明を踏まえ、国際赤十字・赤新月運動は「核兵器のない世界」を創出する取り組みにおいて歴史的に重要な役割を担っていることを確信し、1.核兵器の使用によってもたらされると予想される計り知れない苦痛や、それに対する十分な人道的援助能力の不在、そして核兵器使用を阻止する絶対的な必要性を強調する。2.国際人道法の規則、特に区別の原則・予防措置の原則・均衡性の原則と両立しうるような核兵器の使用が想定できないことを確認する。3.すべての各国政府に対して次のことを訴える。-核兵器の適法性に関する各国政府の見解の如何に関わらず、核兵器が再び使用されることがないよう保証すること。-現存する国際的な義務やコミットメントを基礎とし、法的拘束力を有する国際的合意によって核兵器の使用を禁止し、廃絶するために、早急かつ決定を伴う交渉を、誠意をもって行い、結論を導くこと。4.すべての国際赤十字・赤新月運動の構成員が「人道外交」の枠組みを活用して以下のことをおこなうことを要請する。-核兵器の使用がもたらす破滅的な人道的影響、核兵器の使用に起因する国際人道法上の問題、および核兵器の使用禁止・廃絶を実現するための具体的行動の必要性について、一般市民・科学者・医療従事者・政策決定者の意識を高める活動に可能な限り取り組むこと。-核兵器に関連する人道的問題および国際人道法上の問題について政府およびその他の関係機関と可能な限り継続的対話をおこない、本決議において示されている国際赤十字・赤新月運動の見解を広く238人道研究ジャーナルVol. 2, 2013