「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 20133.国際赤十字・赤新月博物館、連盟、およびICRCに対し、各国赤十字・赤新月社と協議の上、運動の歴史的・文化的遺産の保存・振興において運動構成組織が得た経験および実際におこなった活動をもとに、2015年代表者会議に提言をおこなうことを要請する。決議7武力紛争およびその他の暴力状況に対する1各国赤十字・赤新月社の準備および対応I.背景近年の出来事が示すように、暴力状況はいついかなる場所でも発生しうる。多くの場合、そうした状況において、各国赤十字・赤新月社の迅速な対応を要する人道上の問題が発生する。また、場合によっては何年、あるいは何十年にもわたって長期化する慢性的な武力紛争においても同様の人道的対応が求められる。また、デモが暴動に発展した場合には、主に農村地域での対応を想定して策定されている従来の作業手順を都市部にも適応させるよう変更しなければならないという、人道活動上の別の問題も発生している。武力紛争およびその他の暴力状況から被害を受けている人々や地域に対する支援活動を容易にし2、そのニーズに効果的に対応するには、すべての国際赤十字・赤新月運動(以下「運動」)構成組織が協力して準備・対応・復旧をおこない、それぞれの組織がもっている能力を最大限に活用することが不可欠である。集中的・補助的に機能する運動の権限と能力国際赤十字・赤新月運動規約(以下「規約」)に記載されているように、各国赤十字・赤新月社には、「ジュネーブ諸条約に規定されている武力紛争犠牲者、および自然災害などの緊急時に救助を必要としている被災者を支援するために、公的機関と連携して緊急救援活動などの対応を組織する」3権限がある。人道分野において公的機関の補助として機能し4、自国において武力紛争およびその他の暴力状況の被害者などに人道的支援・保護を提供する5という各国赤十字・赤新月社の権限は、代表者会議および赤十字・赤新月国際会議で採択された多くの決議によって確認されている。赤十字国際委員会(ICRC)には、「特に国際的・一国内武力紛争あるいは内乱の際に人道活動をおこなう中立機関として6、そうした紛争およびその直接的影響の犠牲者となった軍人および民間人に対して保護・支援を確保するためにいかなる時にも尽力する」7という規約上の権限がある。紛争時にICRCは、紛争当事国の赤十字・赤新月社、支援活動に参加している赤十字・赤新月社、ならびに国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)との緊密な協力体制のもとで、緊急人道活動を準備し実行する。2この決議の背景報告書に、ICRCによる「その他の暴力状況」についての記述がある。3国際赤十字・赤新月運動規約第3条第2項4近年のこうした内容の決議には、「活動と協力関係における国際赤十字・赤新月運動の特異性および各国赤十字・赤新月社が担う人道分野における公的機関の補助としての役割」に関する、第30回国際会議決議2と2007年代表者会議決議3がある。5一例として、1921年第10回国際会議決議14の非国際的武力紛争・内戦に関する一般原則には次のような記述がある:「赤十字は、(…)内戦および社会的動乱・革命動乱(…)に際して救援活動をおこなうという赤十字の権利と義務を確認する。内戦が勃発しているいずれの国においても、最良の方法によって紛争犠牲者の救援ニーズに対処する第一義的責任が各国赤十字社にはある(…)」6セビリア合意第2部第5条第2項(b)に定義されているとおり、内乱は「必ずしも武力行為を意味するものではなく、政治・宗教・人種・社会・経済などが原因となって長期間に及ぶ重大な暴力行為または潜在的暴力状況をいい、大量逮捕、強制的失踪、治安上の理由による拘留、法による保障の停止、非常事態宣言、戒厳令布告などの事象が1つ以上付随している」。7国際赤十字・赤新月運動規約第5条第2項(d)8国際赤十字・赤新月運動規約第6条第3項および第4項(ⅰ)人道研究ジャーナルVol. 2, 2013245