「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013おこなおうとすると身柄を拘束されたり脅迫を受けたりしている。そのような場合、国によっては、武力紛争およびその他の暴力状況の中で赤十字・赤新月社の役割をより明確に打ち出すために、その定款および法的文書を強化する必要がある。その際、独立の基本原則を考慮して、各国赤十字・赤新月社の自主性と人道分野における公的機関の補助としてのその地位および役割とを両立させなければならない。武力紛争およびその他の暴力状況において調整の行き届いた人道支援をおこなった最近の事例は数多く存在する。しかし、紛争の被害を受けている人々や地域の人道的ニーズへの運動側の対応にはまだ改善の余地がある。重要なのは、紛争の新たな動向とそれが人道活動に及ぼす影響について運動が共有する知識および理解を深め、紛争への対応の質を高めて統一性のある運動のアプローチを作り出すことである。総じて運動構成組織は、刻々と変化する活動環境に配慮し、組織間の調整および公的機関への補助的役割を通じて迅速かつ効果的に紛争犠牲者のニーズに対応できるように準備態勢の水準を高めておく必要がある。ICRCおよび各国赤十字・赤新月社は、武力紛争およびその他の暴力状況における支援活動の指針となる、調整がとれていて相互補完的な非常事態計画を策定することに、特別な注意を払わなければならない。基本原則を順守すること、ならびに外部からそうした姿勢を尊重されるようになることはすべての運動構成組織にとって不変の課題であるとともに、武力紛争およびその他の暴力状況から被害を受けている人々や地域1に対する支援活動の安全性を高めるために必要である。運動規約および代表者会議の関連決議1においてもこの点が強調されている。Ⅲ.決定武力紛争、自然災害、その他内乱や暴力状況などの緊急事態に対応して活動するという、運動規約に基づく各国赤十字・赤新月社の権限を認識するとともに、武力紛争およびその他の暴力状況への運動の対応を強化するために、2011年代表者会議は以下のことを決定する。1.各国赤十字・赤新月社が、適切な安全管理・危機管理体制の導入にいっそう努め、武力紛争およびその他の暴力状況における支援活動の安全性を高める具体的な対策をとることを奨励する。また、基本原則および運動の関連指針を活動の中に反映させ、危険な状況下で活動するスタッフおよびボランティアに1対して保険による保障2をおこなって精神的外傷・ストレスあるいは殉職を含む傷害事象が発生した場合に適切に補償をおこなうことも求められる。2.各国赤十字・赤新月社は必要な場合に、武力紛争およびその他の暴力状況から被害を受けているあらゆる人々に対して支援活動をおこなう必要性についてすべての関係政府と協議をおこない、必要に応じてICRCの支援および関与を受けて、中立的で公平かつ独立した人道活動をおこなう(基本原則に定義)という各国赤十字・赤新月社の役割を尊重するように、受益者への支援活動に影響力をもっている人々に対して、可能な場合には影響力を行使するよう要請する。3.各国赤十字・赤新月社、ICRC、および連盟が武力紛争およびその他の暴力状況において人道活動をおこなう上での新たな動向と課題について調査・分析を今後も続け、その分析結果を共有することで、紛争の被害を受けている人々や地域の人道上のニーズに迅速で効果的かつ一貫性のある対応をとるための組織的な緊急時対応計画を策定する基盤とするとともに、各機関の抵抗力を強化することを要請する。4.各国赤十字・赤新月社が運動規約および行動規範の中で、武力紛争およびその他の暴力状況における自社の権限・役割・責任の定義をより明確にし、自社内はもとより外部組織および地域に対して広くその11例えば次のものがある:2009年代表者会議決議8「武力紛争およびその他の暴力状況における医療の尊重と保護」、2007年第30回国際会議決議1付帯宣言「Together for Humanity(人間を救うのは、人間だ)」、2005年代表者会議決議7「運動構成組織と軍事組織の関係」、2003年代表者会議決議9「多様性の尊重促進と差別・不寛容との戦い」、決議付属書第4項(f)。12例えば次のものがある:2009年代表者会議決議8「武力紛争およびその他の暴力状況における医療の尊重と保護」、2007年第30回国際会議決議1付帯宣言「Together for Humanity(人間を救うのは、人間だ)」、2005年代表者会議決議7「運動構成組織と軍事組織の関係」、2003年代表者会議決議9「多様性の尊重促進と差別・不寛容との戦い」、決議付属書第4項(f)。人道研究ジャーナルVol. 2, 2013247