「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 252/276

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013決議1武力紛争犠牲者の法的保護の強化第31回赤十字・赤新月国際会議は、殺人、拉致、人質誘拐、拷問、残虐行為/非人道的行為、強姦をはじめとする性的暴力などの国際人道法違反を含む、計り知れない苦痛が武力紛争によって絶えず生み出されており、そうした苦痛が世界のさまざまな地域で高齢者や子どもなど社会的弱者に至るまであらゆる人々に及んでいることを深く憂慮し、武力紛争犠牲者の置かれている境遇を改善するためには、より一層の国際人道法の順守が必要不可欠であることを強調するとともに、あらゆる国家及びあらゆる武力紛争当事者にはあらゆる状況においても国際人道法を尊重し、それを保証する義務があることを再確認し、1949年ジュネーブ諸条約が世界各国で批准されていることを想起し、ジュネーブ諸条約以外の他の国際人道法関連条約についても世界的に受諾されるであろうと希望を表明するとともに、国際人道法関連条約に未だ参加していない国家に対し同条約の批准もしくは同条約の締約を検討することを要請し、第30回赤十字・赤新月国際会議で採択された、国際人道法の再確認および実施に関する決議3を想起し、国際的・非国際的武力紛争において国際人道法がこれまでにも増してその意義を保ち続けているとともに、武力紛争のあらゆる犠牲者を保護し続けていることをあらためて表明し、武力紛争のあらゆる犠牲者を法的に保護する上で国際人道法の必要性が維持され、それを実現すべく国家及びその他の武力紛争当事者がそれぞれの義務を完全に履行することを保証するという観点から、人道的判断及び武力紛争の軍事的必要性を正当に考慮することが重要であると認識し、特に国際人道法が適切に履行されていないときには法の存在を再確認することによって、そして武力紛争犠牲者のニーズを国際人道法が十分に満たしていないときには法を明確化あるいは発展させることによって、国際人道法を強化していく必要性に留意し、国際人道法を発展させていく上での国家の主体性を重視し、国際赤十字・赤新月運動規約に従えば、赤十字国際委員会(ICRC)の重要な任務は「武力紛争に適用される国際人道法の理解とその普及に努めるとともに国際人道法を発展させていく環境を整える」ことであることを想起し、さらに、国際人道法の理解、普及、実施、発展におけるICRCおよび各国赤十字・赤新月社それぞれの任務を想起し、国際赤十字・赤新月運動規約に従えば、赤十字・赤新月国際会議には、「国際人道法のみならず、国際赤十字・赤新月運動にとって関連性の高いその他の国際的な協定も尊重され発展していくよう貢献する」という役割もあることを想起し、第28回赤十字・赤新月国際会議の際に提出された「国際人道法順守の向上」に関連する地域別専門家セミナーについての2003年ICRC概要報告、ならびにスイス政府とICRCが共同でまとめた「ジュネーブ諸条約60年の歩みとこれからの数十年」専門家会議に関する2009年報告に注目し、1. ICRCが行った「武力紛争犠牲者の法的保護の強化に関する検討」の主な結論をICRC自らが要約して報告するとともに、この事案について各国政府との協議を重ねたその尽力に感謝する。2. ICRCによる報告では、武力紛争によって自由を奪われた犠牲者の保護と国際人道法をより一層順守する必要性に関して、対処すべき深刻な人道上の問題や課題が明確にされていること、ならびに各国政府との協議を踏まえた上でこの問題に対して具体的で協調的な行動が求められていることを認める。3.人道的扱い、年齢・性別・身体的障害・その他弱者となりやすい要因を考慮した上での適切な拘留環境、武力紛争によって拘留・抑留・強制移動させられている犠牲者を守るために必要な手続き上・法律上の保護措置、こうしたことの保証を中心課題として、武力紛争による自由の剥奪に関する人道上の問題並びに軍事上の判断を分析することの重要性を認識する。250人道研究ジャーナルVol. 2, 2013