「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 257/276

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013目的2. 3:武力紛争下にある障がい者の保護の強化国際人道法の下では、障がい者は、負傷者や病人あるいは老齢により身体の弱っている人と同様に、特別な配慮と保護を要する一般市民という分類に入ることを各国政府は認識する。各国政府は、障がい者が僻地に居住している場合には特に、各々の状況に応じて診療・治療や身体のリハビリを受けられるようにするのみならず社会経済生活への復帰も保証すべく考えられるあらゆる措置を講じる。各国政府は、障がい者それぞれの状況に応じて適切な診療・治療や身体のリハビリを受けられるようにするのみならず社会経済生活への復帰も保証するために、国際赤十字・赤新月運動構成組織と協力して、国際人道法に従って障がい者を捜索・収容し避難させる手段を整える。各国政府及び国際赤十字・赤新月運動構成組織は、シェルター、水、衛生設備、食糧配給、教育、医療、身体のリハビリ、輸送、通信、社会経済生活復帰プログラムなどを提供する人道支援活動を立案・実施・監視する際に、障がい者特有のニーズに配慮する。また、可能であれば、人道支援活動を立案及び実施するあらゆる段階で、障がい者自身やその家族、あるいは地元組織に意見を求める。資金供与国は、資金提供指針を策定するにあたって、人道支援を受けやすくするために障がい者特有のニーズを考慮する。目的3:ジャーナリストの身柄の保護と国際人道法に対してメディアが果たす役割の保護の強化各国政府及び国際赤十字・赤新月運動構成組織は、ジャーナリスト、メディア報道者、報道関係者(以下「ジャーナリスト」)は国際人道法違反を世間一般に知らしめその情報を記録するという点において重要な貢献をなしうることを認識する。従って、国際人道法に対する違反行為を阻止し、そうした行為が処罰されない状況に対策を講じる上でジャーナリストは力となりうる。ただし、場合によっては抑留者を世間の好奇の目から保護する義務といった国際人道法の精神がジャーナリストによってないがしろにされてしまう可能性も、各国政府および国際赤十字・赤新月運動構成組織は認識する。各国政府は、武力紛争地において職業上危険な任務に従事するジャーナリストはあくまで一般市民であり、敵対行為に直接参加していない限り、攻撃の対象となるものではないことを再確認する。これは、ジュネーブ第三条約第4条A.4.に規定されている戦争捕虜の地位に相当するが、軍隊の認可を受けた従軍記者の権利を侵害するものではない。また、各国政府は、報道機材及び設備は民間物資とみなされるものであり、その性質・立地・目的・用途において軍事行動に有効な貢献をなし(軍事情報・軍事命令の伝達など)その時点の状況においてそれらの物資の全面的または部分的な破壊、占有、無力化が軍事的に決定的な優位性をもたらすものでない限り、それらの物資を攻撃の対象としてはならないことも再確認する。各国政府は、国際人道法についての訓練を軍隊構成員に対し行う際に、武力紛争下のジャーナリストの保護に関する特別な内容を盛り込む。各国政府及び国際赤十字・赤新月運動構成組織は、ジャーナリストの権利と責任に関連する国際人道法の普及に努めるとともに、武力紛争時に発生する不測の事態に備えてジャーナリストに安全訓練を行うよう努める。各国政府は、ジャーナリストを含む一般市民に対する重大な国際人道法違反を防止並びに処罰するために、刑法や司法の相互支援を含む国内の法秩序の範囲において適切な対策を講じ、そうした違反行為が処罰を免れることのないようにする。目的4:国際人権法の国内法化とその重大違反の抑止の推進a)国内法化各国政府は、必要に応じて各国の国際人道法委員会または同等の組織の援助を受けて、国際人道法の重大な違反を抑止する上で自国に関わるすべての国際的責務の範囲を明確にし、そうした責務を国内の法秩序に組み込んでいく。各国政府は、1977年追加議定書第32条に規定されている、家族が身内の運命を知る権利を考慮して、適切人道研究ジャーナルVol. 2, 2013255