「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013?「敵に有害な行為」の例には、健康状態のよい兵士のいる軍隊、武器あるいは弾薬の輸送、軍事機密情報の収集・伝達が含まれる。?敵に有害でない行為は、自衛目的による医療従事者の小型武器、あるいは負傷者から回収した武器の運搬を含む。?医療従事者や施設・車両が「敵に有害な行為」に巻き込まれていることを示す単発的な事件が起きたとしても、武装主体が無差別にそれらを攻撃する権限を与えるものではない。攻撃が開始される前に警告と十分な時間制限が与えられなければならない。また攻撃は、戦闘員と文民を区別する原則と、軍事目標に到達する上での均衡性の原則を尊重しなければならない。■メキシコの救急車:銃撃戦に巻き込まれる。過去数年間、メキシコでは麻薬絡みのギャングによる暴力によって何千人もの命が奪われた。暴力の増加に伴い、救急車のサービスへの需要も高まる。メキシコ赤十字社は、国内の緊急救急車両の80%を操業し、犠牲者を避難させる際に、ギャング間または警察対ギャングの銃撃戦に巻き込まれることがある。「これまで、メキシコ赤十字社に対する直接の攻撃はない」とSinaloa支部の調整官、Valentin Castilla Astrada氏は語る。「赤十字は、一方の当事者に肩入れするのではなく、人々を助ける組織として見なされている」。しかし、救急隊は、戦いに巻き込まれることに常に脅えながら生活している。「我々にいつ何が起こるのか予測できない」と、メキシコ赤十字社Ciudad Juarez支部の副調整官は述べる。「我々は本当に怖いんだ。以前は、病人や事故で負傷した人を心配していればよかった。我々は安全に活動できていた。しかし今ではすべてが変わった。現場に車が一台近付くだけで、何か起こるのではないかと怖くなる」。ICRCは、現在の手順や業務を再検討し、献身的な救急隊の安全を確保する新しい方法の導入についてメキシコ赤十字社を支援している。赤十字国際委員会(ICRC)の任務ICRCは世界中で紛争が勃発した場合、緊急対応を行う:その中に、負傷者の収容から外科手術まで様々な医療活動が含まれる。また、国際赤十字・赤新月社運動の任務と国際人道法を尊重する環境を創りだすために、舞台裏で多くのイニシアチブを取る。紛争下では迅速な対応を、そして平時には長期の支援を提供する。法的イニシアチブ>ICRCは、軍事要員、政府官僚、非国家主体の反政府集団、市民社会の有力者、医療の幹部職員を対象に国際人道法の知識を広めている。また、国家に対しては、国際人道法を国内法に組み入れ、国際人道法を履行するように奨励する。ここには赤十字や赤新月の標章の使用を制限する法律も含まれる。さらに、医療施設の保護に関する法律やこれら施設の中立性の譲歩を回避するために、武器保有者や医療従事者の義務についての知識の普及にも努める。>すべての紛争当事者に対して、医療行為への妨害を阻止し、また医療従事者やボランティアの任務を尊重し促進することを訴える。>紛争当事者が法的に妥当な相手か否かに関わらず、すべての当事者と対話を行う。ICRCは関連当局に対して国際人道法違反の申し立てを行い、将来の違反を予防するための措置について、信頼に基づいた対話を行う。24人道研究ジャーナルVol. 2, 2013