「人道研究ジャーナル」Vol.2

「人道研究ジャーナル」Vol.2 page 263/276

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013赤新月社が担う役割と責任を再確認し、国際赤十字・赤新月社運動規約第5条に従って、ICRCは主に武力紛争において、多くの場合、各国赤十字・赤新月社と協力して活動することを想起し、また、運動規約に定めるとおり、暴力が発生している状況においてICRCはいかなる人道的主導権をも臨機応変に発揮することを許されており、運動規約に定める役割と責任に従い、当該国への通知とその同意がある場合にのみ活動するものであることを念頭に置き、攻撃やその他の妨害によって医療が提供できなくなったり医療スタッフや施設、医療用車両、負傷者・病人に対するサービスが脅迫や攻撃によって危険にさらされたりすることにより、必要なケアや保護を負傷者・病人が受けられなくなることを深く憂慮し、負傷者・病人及び一般市民に対して適正な医療を提供し、確実に医療サービスを受けられるようにすることは、国際赤十字・赤新月運動が担う使命の最も重要な部分であり優先事項の一つであることに留意するとともに、予防・治療・リハビリに関する医療を必要とする人々にそれらのサービスを提供する上で国際赤十字・赤新月運動構成組織に特別に与えられた独自の補完的役割を認識し、ジュネーブ諸条約及び該当する場合にはその追加議定書によって認められた識別用徽章を使用することによって、負傷者・病人及び公認の医療スタッフ・医療施設・医療用輸送機関を尊重し保護しようという思いが高まることを想起し、第30回赤十字・赤新月国際会議での「国際人道法の再確認と履行―武力紛争における人命と尊厳の保護」に関する決議3、特にその中の「国際人道法に従い、各国赤十字・赤新月社職員とその移動手段を含む医療スタッフ、医療機関、その他の医療施設をいかなる時にも尊重し保護する義務」を想起し、世界中で自らの職務においてこの重要な人道上の問題への対応に尽してきたすべての国際赤十字・赤新月運動構成組織の働きと努力に感謝の意を表するとともに、医療スタッフ、医療施設、負傷者・病人への暴力行為・脅迫に対する国際的な認識を高め暴力抑制策を推進する世界的連携によるキャンペーンを歓迎し、2011年7月の「危機に瀕する医療:16か国を対象とした研究」の準備のためにICRCが実施した調査に注目し、国際人道法は武力紛争という状況にのみ適用されることを念頭に置くとともに、医療を保護する枠組みは国際人道法及び適用可能な国際人権法によってもたらされることを認識し、負傷者・病人には提供可能なあらゆる医療を差別なく提供するという基本的義務を想起し、その意味において、負傷者・病人、医療スタッフ、医療施設、医療用車両に対して攻撃を加えること、負傷者・病人が医療サービスを利用することを恣意的に拒否ないし制限すること、医療倫理に合致する活動を医療スタッフが実行する際に妨害・脅迫・処罰することを禁止するべきであることを強調し、医療スタッフが自らの権利と義務について実務的な知識を十分身につけていることが重要であること並びに国際法に基づき医療サービスを提供する必要があるとされるいかなる場所にも妨害されることなく近づけるようにすることが緊急に求められていることを認識し、各国政府及び軍隊・治安部隊が関連国際法体制に基づく自らの責務を果たして、医療サービスを尊重し、医療スタッフが負傷者・病人に安全に接触できることを保証するための前提は、訓練や教育を含む国内における実施上の措置であることを強調し、医療スタッフ、医療施設、医療用車両並びに負傷者・病人に対する犯罪については国内法廷、または妥当な場合には所轄の国際的管轄権のもとで刑事責任を確定する有効な体制を各国政府は確立すべきであり、また、そうした犯罪を効果的に抑制する手段を確保すべきであることを強調し、1.武力紛争あるいはその他の非常事態において、関連法の枠組みに従って、負傷者・病人及び医療スタッフ、医療施設、医療用車両を尊重して保護する義務並びに負傷者・病人が安全かつ速やかに医療を受けられるようあらゆる妥当な措置を講じる義務を想起する。2.まだそうした義務が履行されていない場合、法律上・規制上の対策あるいは実務的な対策を含めて、負傷者・病人及び医療サービスの保護に関わる国際法上の義務に基づいて必要とされる国内における実施上の措置を講じるために、あらゆる政府がその取り組みを強化することを強く要請する。3.各国政府が、識別用徽章の保護及び使用に関する国際人道法の条項に従って自らの義務を尊重し履行す人道研究ジャーナルVol. 2, 2013261