「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013現場でのイニシアチブ>ICRCは、死傷者の収容、医療ケアへのアクセスあるいは、予防接種キャンペーン等の予防医療計画を組織するために、紛争当事者と停戦あるいは安全な通過について交渉する。また、パレスチナ占領地など、特別な状況下では、検問所での救急車の「優先経路」について交渉する。>土嚢の配置、防護シェルターの設置、窓への防爆フィルムの使用によって、医療施設が物理的に無欠の状態を保てるよう強化する。>医療施設に赤十字や赤新月の標章(旗、屋根のマーク)を掲げ、内部への武器持込を禁止する印を医療ケアセンターに明示する。ソマリアのように、ICRCのいくつかの活動地では、病院の入り口で武器を預かり、返却するといった制度を作った。また、医療従事者の保護地位を示すエプロンも準備した。>全地球位置配置システム(GPS)座標を用いて医療施設の連絡調整を図り、すべての紛争当事者に情報を提供する。>医療施設への到着前に患者の状態を安定させることができるように、暴力にさらされるさまざまな集団に対して応急処置の訓練を実施する。ICRCは、この機会を利用して、国際人道法を尊重する重要性について戦闘員と直接話し合うこともある。>医療従事者や施設に対する暴力が頻繁に生じる場所、たとえば、アフガニスタンではBBC信託基金と一緒にラジオを通じて情報を提供するキャンペーンを、パレスチナ占領地ではポスターキャンペーンを展開する。>負傷者が差別されることを恐れる場合には、病院に同伴する。>アクセスが困難な地域において巡回医療サービスを行う:たとえば2005年から2009年にダルフールで実施された飛行機で移動する医療班や、コロンビアの遠隔地へのカヌーによる巡回診療所がある。>危険な地域へアクセスする際に、リスクを最小限にする方法について意識を高めるために、紛争や暴力に直面する国の赤十字社・赤新月社と「より安全なアクセス」キャンペーンを実施する。また、現地の人々に対しても、赤十字社・赤新月社の役割や機能について知識や一般的な理解の改善・普及に努める。>すべての関連当局と特定の問題、たとえば救急車への妨害などについて話し合う。ネパールでの救急車サービスの評判を改善し、より尊重してもらえるように、ICRCは救急サービス当局や赤十字社、国家や非国家主体と定期的な会合を開催した。誤解を取り除くのと同時に、救急車の運転手や政党、検問所で働く人々のそれぞれの役割と責任を確認した。今後の課題医療従事者や施設、また医療行為を受ける人々を実際脅かしている暴力は、今日の最も重要な人道問題の一つである。ここで示されたように、武力紛争や暴力の際に、傷病者、医療従事者、医療施設・車両の安全性を確実にすることが急務である。負傷者が時を得て医療にアクセスでき、彼らを治療する施設やスタッフが利用可能で、医薬品や医療器具が十分に提供される状況を作るためにも、より多くのことがなされなければならない。医療ケアの保護は医療団体のみでは対応できない。主要な責任は政治家と戦闘員にある。この問題への理解を高め、改善のための行動を起こすために、ICRCは次のイニシアチブへの支援を訴えている。人道研究ジャーナルVol. 2, 201325