「人道研究ジャーナル」Vol.2

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「人道研究ジャーナル」Vol.2

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 2, 2013係する物資や資機材、救護班の運用、他機関との調整など、災害担当支部職員が行っているような災害管理を円滑に実施するためには、行政機関も入った本格的な図上シミュレーション訓練を実施する必要性がある。市町村職員や住民等は、被災情報の収集方法や日赤へ救援を依頼できることを知らない場合もあり、市町村職員等と連携した図上演習等を繰り返し実施し、防災対応・危機管理能力をもつ人材を育成する必要がある。また、救護班が遭遇する災害時に困難な対応などについて、机上訓練(図上演習)を行うことも考えられる。そのためにも事例研究を行い、机上訓練に使用する教訓事例や場面などを抽出していく必要がある。この他、救護班を派遣する病院、支部(職員)の机上訓練、支部と病院間等、行政と支部・応援支部・病院等、相互の連携を前提とする設定等が考えられる(11)。災害が起きるたびに、日赤の対応を検証して計画を見直し、各種研修及び訓練によって対応力を高め、次にステップアップしていく努力が求められよう。(脚注及び出典)(1)日赤の災害救護に関する活動実績等については、富田博樹「日本赤十字社の活動と展望」救急医学Vol.37 No.1、2013年1月号、へるす出版及び日赤本社ホームページ「国内の災害救護活動」http://www.jrc.or.jp/saigai/index.htmlに示されている資料を参考としている。『活動実績』http://www.jrc.or.jp/saigai/results/index.html『資料で見る災害救護活動』http://www.jrc.or.jp/saigai/shiryo/index.html(2)「災害救助体制の推移に関する調査報告書」平成14年3月など日本赤十字社石川県支部「平成19年(2007)年能登半島地震における救護・救援活動の記録」住民アンケート調査は、輪島市門前地区住民246名に対して実施。また、能登半島地震で活動した日赤支部職員23名に対して調査を実施。(3)日本赤十字社「平成19年(2007)年新潟県中越沖地震における災害救助に係る活動記録」被災者アンケート調査は、柏崎市及び刈羽村住民626名を対象に実施。(4)「北海道南西沖地震の総合的調査報告書」、国土庁・自治省消防庁、平成6年3月(5)富田博樹「日本赤十字社の活動と展望」救急医学Vol.37 No.1、2013年1月号、へるす出版。調査時点によって、活動した医療救護班数等が異なっていることに留意されたい。(6)大庭正敏他「東日本大震災にみまわれた宮城県における被災地医療支援の調整」、田勢長一郎「福島県災害対策本部での活動?問題点と今後の展望?」日本集団災害医学会誌第18回日本集団災害医学会総会・学術集会プログラム・抄録集(7)石井正「東日本大震災石巻災害医療の全記録」講談社には、『発災当日の「失敗」』として、自衛隊からの要請に基づき、派遣した医師と看護師が乗ったカヌーが転覆したことから、「安全が担保できないところには絶対に救護チームを出さないと固く心に誓った。」とされている。この他、石巻赤十字病院の対応記録としては、以下が出版されている。久志本成樹監修「石巻赤十字病院、気仙沼市立病院、東北大学病院が救った命」アスペクト「石巻赤十字病院の100日間」小学館(8)内閣府「【東日本大震災における災害応急対策に関する検討会説明資料】緊急災害対策本部(被災者生活支援特別対策本部)における物資の調達・輸送調整について」(9)総務省消防庁「東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会報告書」平成24年8月(10)復興庁「東日本大震災における震災関連死に関する原因等(基礎的数値)」について、平成24年8月21日(11)いずれも作成年が古く、内容的に改訂が必要であるが、図上演習については、以下を参考とされたい。日本赤十字社「図上シミュレーション訓練訓練企画マニュアル?日本赤十字社都道府県支部編?」日本赤十字社「図上シミュレーション訓練訓練企画マニュアル?医療機関編?」平成18年3月http://www.jrc.or.jp/saigai/shiryo/index.html52人道研究ジャーナルVol. 2, 2013