ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014advisory opinion of the International Court of Justice, which confirmed[confirme]that the principles[principes]and rules[regles]of international law apply to nuclear weapons and concluded[conclut]thatthe threat[menace]or use of such weapons would generally[generalement]be contrary to the principlesand rules of international humanitarian law,)、」という(12)。前文に続く本文の第2項において「核兵器のいかなる使用も、国際人道法の規則、特に区別、予防及び比例に関する規則と両立しうると想定することが困難であることを認め(finds it difficult to envisage[peine aconcevoir]how any use of nuclear weapons could be compatible with the rules of international humanitarianlaw, in particular the rules of distinction, precaution and proportionality;)、」と述べる(13)。第3項では、「全ての国に対し以下を要請する(appeals to all States)。」とし、次の二つを挙げる。すなわち、「このような兵器の合法性に関するその見解の如何にかかわらず、核兵器が再び使用されないことを確保すること(to ensure that nuclear weapons are never again used, regardless of their views on the legality ofsuch weapons,)。」及び「現行の約束及び国際的義務を基礎として、法的に拘束力のある国際的合意によって核兵器の使用を禁止し及び核兵器を完全に廃絶するための交渉を誠実に追求し、且つ緊急に決意をもってこれを完了させること(to pursue in good faith and conclude with urgency and determination negotiations toprohibit the use of and completely eliminate nuclear weapons through a legally binding internationalagreement, based on existing commitments and international obligations,)。」である(14)。決議1には他にも核兵器の法的評価に資する部分がある。例えば、核兵器の威力が大であって、そこから筆舌に尽くしがたい苦痛が生じ、それらの効果が空間的にも時間的にも制御できないことを指摘する前文第1段落がそうである。核兵器使用が右の効果を常に生むのであれば、それは、他の兵器と核兵器を差別する指標となり、害敵手段として法的評価も可能となる。(2)国際人道法の核兵器使用への適用の再確認決議1は、国際的と非国際的の武力紛争を区別していない。国際的と非国際的の武力紛争では、特に害敵の方法と手段に関する規則において相違があるから、兵器使用規制にあっては武力紛争の区分に留意することが多い。非国際的武力紛争では政府軍による敵対行為と法執行活動が重なるだけに、国際的武力紛争における規則のそのままの適用は困難である。しかし、法執行としての核兵器使用は、警察必要と比例の原則から普通は考えにくく、決議1が国際と非国際の武力紛争の区分に頓着しないことでさして不都合はない。但し、内戦その他の非国際的武力紛争において、テロリストと呼ばれる人々のよく防御された拠点に対する政府軍や支援外国軍によるバンカーバスター的核兵器使用はありえないことではない。国際と非国際の武力紛争の双方を念頭に決議1は、核兵器の破壊力の大きさを前文で強調し、国際人道法からの合法化が難しいと本文第2項でいう。これは、国際人道法諸規則が核兵器を含む全ての兵器に均しく適用されることを前提としている。国際人道法が核兵器とその他の兵器に同様に適用されることは、当然のように感じられ、通説もこれを肯定するが、異説がなかったわけではない。例えば、下田事件の審理過程で被告日本政府は、1945年の核兵器使用時にそれを禁止する慣習法も条約もなかったと主張し、核兵器使用への既存規則の適用を否定していた(15)。かかる見解はあっても、通説の立場は、国際司法裁判所の核兵器の合法性に関する1996年勧告的意見でも再確認された。通説再確認とはいえ、核兵器の新奇性を根拠としての既存規則適用排除の立場を国際司法裁判所がとらなかったことの意義はやはり大きかったといえる(16)。但し、厳密にいえば、これは、一般国際法又は慣習法においてそうであるということである。条約規則にあっても、特段の意思の表明や合意さえなけれ(17ば、国際人道法関係条約は核兵器と通常兵器)に差別なく適用されるというだけである。ジュネーヴ諸条約の1977年第一追加議定書が核兵器使用にも適用があるかに関する同議定書起草採択時の議論及び各国の宣言に見られるように、特段の事情の有無は条約毎に確認する必要がある(18)。国際司法裁判所勧告的意見では核兵器使用が国際人道法に一般には違反すると述べた直後に、自衛の極限状態での核兵器使用の法的評価を回避する有名な箇所がある。しかし、決議1にはこれに類する部分はない。代8人道研究ジャーナルVol. 3, 2014